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ハッカビーというエセ牧師

マイク・ハッカビーがね、あの、共和党の大統領選予備選の候補だった牧師上がりの政治家、前アーカンソー州知事です、「黒人とゲイとは違う」と言ってるんですね。黒人はかつて多くの者がリンチされ吊るされ殺された、と。ゲイは多くの基本的人権をすでに保障されている、と。それが黒人とは違うと。この人は、ゲイが生まれながらのものか後天的なものかはわからないと言いながら(わからないことにはおこがましくも首を突っ込むべきではないのです)、しかし何を為すかはその人の選択によるものだから、同性愛行為はその人の選んだものなのだ、という詭弁を弄しているのですね。知性というものがあるなら、この論理の破綻はすぐにわかるのだけれど、彼のターゲットとする支持者層はむしろそういう論理の瑕疵を探せる知性のないブッシュ的な人たちなものだから、すぐにこのレトリックを真に受けるのです。まあ、牧師というのはそもそもそういう詐欺的な要素がないと不可能な職業なのですけれど。

しかし、どうせ詐欺するなら、嘘でもいいから愛を説けよ、な。

最近、よく見ている朝のトーク番組「The View」からです。
3分過あたりぎから、核心部分です。

この男のレトリックというのはじつに卑劣です。「バラク・オバマはわたしの選択ではなかったが、彼は絶対にわたしの大統領だ」と口火を切った上で、オバマが選ばれたことを「この国は素晴らしい国だ、とても誇りに思う」と、自分の国家観に合わせて我田引水するのです。この国の素晴らしさは、あんた、まさにハッカビー的なものを排除した末に成し遂げられたものなんだよ、おっさん。あんたがそう言うのは違うでしょ。はあ? 自分の手柄にするなよなあ。

そうして「黒人の隔離政策を少年時代に知っている、あれはひどかった」と回顧しつつ、黒人とゲイとを比較してどう思うのかと訊いた左となりのジョーイ・ベイハーの質問に「ホモセクシュアルの人たちもすべての基本的人権を有していなければならない」と断っての冒頭紹介の理屈です。

まったくね、ハーヴィー・ミルクが暗殺され、マシュー・シェパードが磔にされ、いまも各地で有形無形のゲイバッシングが続いて人が死んでいることを、このおっさん、ホモセクシュアルたちはもっと殺されなければ黒人と同じには扱えない、とでも言いたいのでしょうか。きっと、そうなんでしょう。彼を傾聴する支持者たちの潜在意識に、確信犯としてそう訴えかけているのかもしれない。ものすごい卑劣さ、巧妙さ。

ゲイバッシングのことを口にしたジョーイに「じゃあ、クリスチャン・バッシングはどうなのか」と切り返し、これが次元の不利な展開だと気づくや「とにかく暴力はいけない」と納めるのです。

彼は現在、自分のトーク番組も持っていて(もちろんあのFoxニュースです)、この“人当たりのいい”しゃべり口とジョークの“うまさ”とで、次期大統領選に向けて始動しているわけです。今回は知名度に劣って途中で負けましたが、彼は次回の選挙では本命となって、臥薪嘗胆をねらう共和党保守派支持層の票を一手に集めるでしょう。

悪魔は、善意の顔でやってくる、という、彼がその典型的な人物です。

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