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January 02, 2008

やくみや(移転・再訪)

2007-12-13
小料理・飲み屋
やくみや

東京都新宿区荒木町1-2
なかばやしビル2階
03-6318-3421

新宿ゴールデン街にあった「やくみや」が2007年11月末に四谷・荒木町に移転し、それでさっそく出向いてみました。地下鉄の四谷3丁目の駅から歩いてすぐです。新宿通から杉大門通りを入って100mほどの右手のビル2階。杉大門通りの入り口あたりからでも水色の四角い看板がひときわ目立つのですぐわかるでしょう。

ゴールデン街のあの雰囲気も良かったが、ここらへんもむかしの花街。路地に飲み屋が並んでていいところですね。今回の移転先はなんといってもゆったりした広さでくつろげます。いっぱいで、行っても入れないんじゃないかという行く前の心配も薄らぎました。そんでもって厨房設備の格段にアップしたこと。シェフの佐和さんもこれなら十分に実力を発揮できるでしょう。ソムリエの朝子さんは相変わらずなかなか妙味のある酒類の選択で、日本酒で「清吟」という、とても清潔でエグミのまったくないいい酒を教えてくれました。

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さて、小料理屋というか割烹というか、こういうところの料理はじつはいくらでも手抜きをしようとすればできてしまうところがある。ちまたにはそういう店があふれています。いわゆるネイバーフッドパブというのはご近所のよしみや手軽さ手頃さもあってそういう手抜き料理でも赦されてしまうんですね。まあ、家で飲むよりもつまみの数はそろっているし、酒の肴の得意な奥さんばかりでもないですからね。それに、家庭料理にちょっと毛の生えた程度の素人料理が出てくる気の置けなさってのも嫌いじゃないし。

でもね、このやくみやの料理を食べると、いつも、正しい料理だなあ、って感心するのです。ほんと、背筋がきちんと一本通っている料理。それにプラスして、調理技術の下地ということだけではなく、いつも、勉強してるんだなあ、考えてるなあ、と感じるのね。そうやって頭使ってるから、ちょいとひねってもひねりすぎることがない。ひょいひょいと宙返りはしても着地はきちんと定点で決まる、みたいな。だからね、おや、面白いなあと思っても安心していられるんですね。やっぱり料理も思索なのよ。

あいかわらず素晴らしい店でした。ということで、今回の帰国では2週間ばかりの東京滞在で計4回も出向いてしまいました(うち1回は定休日なのを知らずに訪れたんですけど)。

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塩水とともに煎った銀杏。きれいだね。

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正しい〆鯖。

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海老しんじょの春巻き。

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焼き野菜。シンプルだけどね、次に紹介の「ブノワ」の地野菜よりはるかに野菜の味がいい。そうね、この焼いた野菜をスープというかだしというか、そういうのに浸して食べさせても面白いかも。

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ブリ大根。色はしっかり、でも味はすんなりとやわらかです。

June 16, 2007

Peter Luger

2007-06-15
Steak House
Peter Luger

178 Broadway, Brooklyn, N.Y.
(地下鉄J/M/ZでブルックリンのMarcy Avenue下車)
(718) 387-7400

June 11, 2007

礼華(らいか)

2007-06-10
中華
礼華(らいか)

東京・新宿区新宿1-3-12 壱丁目参番館1F
03-5367-8355

May 31, 2007

こなから

2007-05-29
居酒屋
こなから

東京・豊島区北大塚1-14-7
03-5394-2340

東京に住む旧知のアメリカ人大学教授に誘われて大塚にあるこの店まで連れてきてもらいました。駅北口からちょっと歩くだけ。大塚なんて、学生時代に「山手線一周歩け歩け深夜強行」をやったときに通り過ぎたことがあるくらいで、ふつうは来ないよなあ。

でも、ミシュラン風にいえばこの店は「この店だけのために大塚に行ってもよい」というような店でした。料理の一つ一つが小気味良い。まあ、酒菜ですけれど、こういう小品であればあるほど、奇を衒えない分だけ屋台骨がしっかりと見えてしまう。ここの屋台骨は白木の檜の柱。技自体が自然と溶け込む、みたいな(大袈裟;;)。

んで、びっくりしたのが(まあ、お店とは関係ないけど)近頃の焼酎の旨さでした。
ここも例によって焼酎の品揃えが豊富なんですが、560円だったかな、「まんこい」っていう焼酎は、飲んでいてまるで上質な年代物のカルヴァドスみたいな味がしましたし、名前忘れちゃったけどもうひとつのはアルマニャックだった。それをグラス一杯、ほとんど5分の1の値段で飲める。焼酎恐るべしです。

まずはポテトサラダから。というのは、生ビールを頼んだら、これがまた名人芸のぽっくりの泡立てで、なんだか、生ビールにはポテサラじゃありませんか? はは。ビールって、泡を飲むわけじゃないが、この泡と唇との接触でずいぶんとそのあとの味の印象が変わる。英語で、good kisser(キス名人)という言葉があるんだけど、ビールって、このキスの上手い下手と似てません?
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とってもまろやかなのは卵が入ってるから。それとタマネギのスライスの混ざり具合もよかった。日本のポテサラは心を落ち着かせる作用がありますわん。

お刺身も皮目の焼き霜、昆布〆ときちんと仕事をしてあります。焼き霜のは鰆。昆布〆は平目。
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アスパラのおひたしの上にはとろろ昆布です。きれいでしょ。見た目どおり、奇麗な味です。
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赤絵の皿に、新生姜と平いんげん。胡麻と豆腐のソースのこの上ないクリーミーさは裏漉しの手間でしょう。
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野菜づいてる、というのも、初夏の風情もあってたのむはしから美味しいから。
これは白菜としめじの煮浸し。
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それとこれは根曲がり竹の焼いたの。
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あとでネットで調べたらこのお店、やっぱりあちこちで絶賛されてました。人気メニューというのもあるらしいけどそれは今回はミスしてたみたい。ってか、お肉はたのまなかったし。

なんだかとても清々しい気分でお店を後にしました。
ちなみに「こなから」というのは「小半ら」と書くらしいですね。「半ら」はお酒の半升のこと。そのさらに半分を「小」を付けて呼んだんですね。つまり2.5合。お酒はこのくらい飲むのがちょうどよいっていわれてるそうです。はい、いつもオーバーしております。ぐぷぷ。

May 29, 2007

ピノ・サリーチェ

2007-05-28
イタリアン
ピノ・サリーチェ(circolo ITALIA Pino Salice)

東京都渋谷区鶯谷町15-10 ロイヤルパレス102
03-3496-3555

May 08, 2007

Degustation

2007-05-04
フレンチ・タパス(スペインの小皿料理)?
Degustation(デギュスタシオン)

239 E. 5th St. (bet. 2nd & 3rd Aves.)
NY., NY., 10003
TEL 212-979-1012

去年の10月以来の再訪です。やっぱりここは面白いし美味しいし、はてさて、☆ではありながら、この直前のエントリーである☆☆のジャン・ジョルジュよりも褒めた書き方になるのはどうしてでしょうかね。まあ、判官贔屓かしら?

だって、見てください、このキャパですよ。厨房もなにも、オープンキッチンはコの字型のカウンター19席に囲まれたこのスペースだけ。逃げも隠れも出来ません。そこで仕込みをして調理してアセンブリしてプレゼンテーションもなかなか考えてあって、はいどーぞとなれば、そりゃあなた、感激します。
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前回はおとなりのジュエルバコのテーブルに座ってこちらから皿を持ってきてもらったのでよくわからなかったのですが、今回は目の前で展開する調理の仕組みがわかりました。やっぱり限度はあります。メニューは前菜っぽい小皿が5ドルとか6ドル、そして10ドル前後のラインがあって、メインとしても食べられるヴォリュームのある肉や魚介ものが20ドル前後です。値付けはものすごく良心的。ワインも35ドルくらいからと、とても安心して飲み食いできます。ここはなんといってもイーストヴィレッジ。その雰囲気を忘れないぞという気概さえ感じます。ただ、メニューの数は20種類くらいと限られる。おまけにいつも忙しそうで、カウンターながらいわゆる日本の割烹のようなインプロヴィゼーション、アドリブ、即興の妙みたいなものは難しいかもしれません。いや、どうかしら、もうすこし通って常連になったら試してみられるかもしれないけれど。

で、この日はアップステアーズの常連ですっかり仲好しになったマリアさんのお友達、テキサス・オースチンのスーザンさんが60歳の誕生日ウイークだということでNYに遊びにやってきて、それで3人でここでの会食となったわけです。この日は5コース50ドルというシェフズ・メニューを頼みました。で、そのほかにメニューの中から気になるものをピックアップして、追加注文という形。

一品目はその追加注文のトルティーヤラップです。なかにはお豆かしら? ウズラの卵も入っていて、上に載ってるのはハラピーニョの輪切りですね。一口料理です。いい感じです。
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それからコースに入りました。
最初はグリーンアスパラのグリル。周りにはアラレが付いています。カリカリパリパリ弾けます。で、下にたまっているのがチーズの泡ソースと、その中にポトンとポーチドエッグが落としてあります。で、スペインの生ハムであるセラノが切って添えてあります。それをグチャグチャと混ぜ合わせてアスパラをディップして食す。うまいっす。食感もいい。この卵とセラノの組み合わせは、ブーレイのコースでも出てきたことのある定番。こちらはアスパラ・ベーコンからの連想でもあるでしょう。
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こないだのジャンジョルジュ、さらにはじつはこの2日前の5月2日にはアップステアーズでもフレンチのほうから白アスパラガスのグリルを食べまして、アスパラ3連チャン。で、どこがいちばん美味かったかというと、写真撮ってませんが(ここにリポートもしてませんけど)アップステアーズの白アスパラが一等うまかったです。キャラメライズして、チーズがかかっていて、しかもソースが甘酸っぱくて、これはさすが素晴らしい料理でした。次がこのデギュスタシオンです。これは食感とソースのアイディアが上等です。この2つに比してジャンジョルジュはモレールマッシュルームを使っていて値段的にはいちばん高いでしょうけど、ちょっと凡庸な味だったですね。

次はコースから外れてコロッケ、クロケットですね、を食べました。中は戻した干しダラだったかなあ。下の緑はパセリのピュレーだそうです。まあまあかな、これは。
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次のこれは、思わず踊りだしてしまうほど美味かったわ。
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大中小と3種の海老のグリルですわね。どれがいちばん美味いかというと、じつはちっこいのです。もう海老の味がぎゅっと凝縮されていて、頭の部分なんか、丸ごと食したら涙が出てくるほどうまい。真ん中の大海老はモロッコ海老だったか名前を忘れましたが、肉がしっかりしていて味は穏やかで、これも違いがわかってうれしいものです。大きなのは手長海老ですね、スキャンピというやつ。これは身がほろほろです。ミソも甘い。しゃぶりつきました。ただグリルしてオイルと塩を振っただけなんですけど、参りました。料理って何なんだろうと、こういうのを食うと考え込んでしまいます。ってか、それは後の話で、食った時は昇天ですけどね。

んでもって次にでてきたのはホタテ貝。
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なんだっけ、この緑の野菜。なんかのササゲの一種みたいな食感でしたが、こんな海藻ってあったっけ? あ、思い出した、これ、samphire サンファイアというセリ科の多肉草。うーん、英語でなんとかグリーンとかいったんだけど、それを思い出せない。それにグレープトマトに火を通したのとブドウの輪切りとを加えた淡く甘いソースです。つまりトマトウォーターベースなのかな? これはちょっと甘さが一面的でまあまあだったかな。こう考えると、ホタテってかなり料理が難しいかも。東京の「カンテサンス」でもホタテは首を傾げたし。ホタテ自体が甘いから、ソースはそれと別の方角から切り込まねばならない。青みとか酸みとか。そういう意味ではこれまたブーレイのパセリのオーシャンブロスは凄いんだなあ。

そんでお肉に入ります。別注文のウズラが次に来ました。
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マリネされていてウズラの臭みが消えていて、これもなかなかよいものです。醤油とバルサミコに漬けたみたいな味です。よく見ると胡麻もくっついてるね。フェンネルのサラダも合っています。

そして料理のコースの最後4品目はロースト・リブアイの薄切りをブリオーシュのトーストの上に載せ、ホワイトチーズのソースを垂らしたもの。リブアイというのはリブロース、肩に近いロースの芯の部分。「目 eye」に似てまん丸だからこう呼びます。リブロースはいちばん肉の旨味を感じられる部位ですね。わたしはこのリブロースの芯の下の部分、ちょうどホタテの貝柱と足の関係でいうと、貝柱をアイとして、足の部分に相当する部分、なんていうんだっけ? あそこが大好き。脂が指して肉質はホロホロで。でもアイの部分もこうして食べるとじっさいジューシーで美味いっすよ、これ。うふふ。
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おまけはラム。これもうまい具合に焼けてるでしょ? キャラメリゼでっせ、この色が、はい。左のはハッシュドポテト(ジャガイモの千切りのパンケーキ焼きみたいなもん)。上にはサワークリームですね。下のソースは刷毛で塗った赤ワインのリダクションのソースです。もう腹一杯です。
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そして最後にデザート。この日はベリーのミルフィーユ仕立て。
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そんでもって、シェフがこんなにadorableなら、もう言うことはないじゃないですか。
名前はウェスリー・ジェノヴァート。じゃっかん28歳です。
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週末はいつも満杯です。平日の夜が予約を取りやすいでしょう。
さて、ウェスリー君、このカウンター席という形式がおのずから要求するであろうアドリブが可能なのかどうか、それが次の注目点ですね。

**
追記)翌週に再訪問しました。ウェスリー君、先週来たと知っているのに、シェフズ・メニューは同じ内容で出してきました。ちょっとがっかり。つまりメニュー以外にアレンジするというシステムはアメリカにはあまりないのかもしれません。これでは何度も来るわけにいきません。間口はあれど、奥がない、ということです。残念。

March 02, 2007

カンテサンス

07-02-26
フレンチ(キュイジーヌ・コンテンポレーヌというらしい)
Quintessence

東京都港区白金台5-4-7
03-5791-3715

Danchu の小山薫堂さんというひとや日本のいあゆるグルメライターたちが絶賛しているので、そういうひとたちの「!」という表記がどういうものなのかを知りたくてお料理上手な鉄人主婦のみっちゃんとデートを兼ねて伺ってきました。白金台のプラチナ通りからちょっと斜めに入ったビルの1階にあります。スタッフは笑顔でとても感じがよく、店もゆったりと35席ほどしかないんでしょうか、ずいぶんと贅沢な気分にさせてくれます。

さて料理はお任せで15750円のコース(といってもメニューは白紙で、何が出てくるのかわからないという演出を施されています)。ワインペアリングで12000円。サービス料やコーヒー、水代を入れて2人で63000円もかかってしまいました。で、結論を先に言うと、33歳の岸田周三シェフは才気にあふれていて、さまざまな素材をさまざまに工夫して出してくれます。ただし、それらはどうもまだ「料理」になっていない。一皿一皿が「料理」のコンポーネント、エレメント、要素、部品、という感じで供されて、一皿としての全体像というか統合感とかいうところにまで行っていないのですね。

うーん、難しいな。どういえばわかってもらえるか。例えば、これはわたしも美味しいなあと思った「山羊のミルクのババロワに削ったアーモンドと百合根を載せ、フルール・ド・セルをぱらぱらして、そこにものすごくグリーニーなEVOOを垂らす」、という一品があって、これはまあそのオリーブオイルを味合わせるには最高なんだろうけど、でも料理かというとなんか違うような気がする。これはお料理の途中で「ほら、これ!」といわれてひょいとスプーンで味見をする、そんな途中経過みたいな、楽屋話みたいな、そんな感じが否めないのです。

いつもブーレイとの比較で申し訳ないけど、この山羊ミルクのババロワは、ブーレイではきっとアミューズのグラスになんかいろいろ組み合わせたもののうえにほわっと載っているもの、でしかない。そこから始まってスプーンで下に行くとまた別の何かが控えている、そういう料理になるんだ。

つまり、一皿に8手も9手もかかっていてそれの全体が統合された宇宙を提示する。複雑でいて、かつ素材のシンプルネスがバッティングすることなく共存している。したがって、客である私は食べ終わるまでその全体像を把握できない。
でも、ここカンテサンスではこれは3手で終わりなんです。わかっちゃうんだ。で、コストパフォーマンスとして、この日はデザート4皿を含めて13皿が出たんですけど、なんだか実際にはあれとこれを一つに盛り合わせれば料理3皿とデザート1皿、って感じなんですね。印象として。いや、量が少ないとかという話じゃないんです。なんちゅうか、皿の上に宇宙がない。皿の上に物語がない。皿の上に、ただ若くて痩せたメッッセージだけが載っている。

それが、素材をシンプルに、という哲学ならば、それはその好き嫌いの話になります。

では一品一品を取り上げましょうか。

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最初のアミューズとして茸のビスケットなるものが出てきます。薄切りした椎茸でしょうか、それをフリーズドドライめいた食感に乾燥させ、ポルチーニパウダーでまぶしてあるのかな。下にはほかの茸をクリーム状にしてビスキュイと挟んでいる。指でつまんで口に入れるとポルチーニの香りが広がって、アミューズとしてなかなかよい出だしです。もっとも、どうして2月後半に茸なのか、という疑問は残りますけどね。

次は人参の冷たいスープです
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これも人参の風味がとてもよく、さわやかです。この倍の分量があってもうれしいな、といううまさです。

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ここで山羊乳のババロワが出てきます。すばらしいEVOOです。訊けば岸田さんが修業していたパリの「アストランス」で使っていたオイルだそうです。これをいかに味わわせるか、その結論がババロワだったんでしょうね。わたしも自宅では、リコッタチーズに美味しいオリーブオイルをぶっかけてフルール・ド・セルとクラックした黒胡椒を散らして夜食にしたりしている。ま、同じ発想です。日本じゃリコッタが高いから、カッテージチーズに上等なオリーブオイルをかけても同じ感じになります。ただ、これはEVOOを味わうためのものだけど、じつは上に載っていた百合根がうまかった!(これは「!」が付きます) 百合根って、そうね、卵とかにも合うんだから、クリームにも合うはずだわ。

次はフォワグラと赤ビーツのミルフィーユ?
フォワグラビーツ.JPG

添えはフェンネルの薄切りです。長ひょろいのはリンゴ。まだ冷たい前菜です。これはそんなにうまくなかった。フォワグラのパテがちょっと生臭い。もっとビーツを増やすかフェンネルを柑橘系で酸っぱくして添えたほうがよいでしょう。

温かい皿の1つ目がホタテと蕎麦の実の料理。
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これね、もっとうまくなるはずです。左のがホタテの貝柱に砕いた蕎麦の実をくっつけて焼いたもの。そばがカリカリに香ばしく、ホタテは限りなく甘い。でも、その甘さをカットするものがないから、一口目で食い飽きる。だらっとした甘さだけが残る料理になってしまう。酸味、あるいは辛味、なにか、もう1次元ほしい。甘さには普通は酸味ですけどね。
となりのは蕎麦の実のリゾットなんだけど、これもだらっとしている。ごっそり黒こしょうを入れてカルボナーラ風にするとか、青ネギを刻んで混ぜ込むとかしないと、うまさが立ち上がりません。

次はアンディーブのグリエかブレゼか、それに唐墨を削ったんですね。
うーむ、これ、付け合わせでしかないような気がします。唐墨の意味が判りません。アンディーブの苦さに、唐墨のほのかな苦さを重ねてみたのかなあ? これをするなら、アンディーブじゃなくて大根にしたらどうだろう。唐墨大根ってのが日本にあるんだから、その生の大根を焼いてみる、とか。
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次は的鯛(マトウダイ)。
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向こう側は法蓮草のピュレ。
手前はインゲン(フレンチビーンズ)の上に春菊の泡のソース。
世のグルメ評論家はここの魚の焼き方を「断面に目が釘づけになりました! なんと! 虹色に光輝いているのです! 火を入れていると、ほんの一瞬だけ虹色に光を放つ瞬間があるらしいのですが、それを当たり前の如くやってのけるシェフの腕には感心させられますね。」と書いてるひともいます。でも、どうなんでしょう。もっと低温で柔らかく焼けるはずです。日本では刺身を食べるくせに、焼き魚はかなり火を通してしまう傾向があります。もっとも、これはソースではなく塩(フルール・ド・セル)で食べさせるので、どうしても日本の焼き魚に近くなってしまうのかもしれない。惜しいです。

次は鴨。
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一羽丸まんまをローストして切り分けていて、中まで均一にきちんと焼けています、とメートルディが説明してくれました。向こう側はポロネギ。ソースは赤ワインとチョコレート。うーん、ゴードン・ラムジーのチョコレートソースが秀逸だっただけに、なんだか中途半端なソースでした。一般的に、ソース、弱いかもなあ、ここ。

で、料理の最後はデザートへのつなぎとしてモレーユ・マッシュルームのソテーにヴァン・ジョーヌ(黄色いワインという意味の強精ワイン)風味のチーズのコンテ。写真撮るの忘れて食べた途中のものです。ま、ふつうですね、これ。
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デザートはマールのソルベにイチゴのタルトのデコンストラクシオン、そしてキャラメルのマシュマロでした。イチゴのタルトの茶色いのが、生地部分を液体状にしたもの。青い葉っぱはマージョラムでした。キャラメルのマシュマロにはバラの花びらの味のシロップが添えてあった。
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イチゴのタルト.JPG
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で、最後に出てきたのがメレンゲのソルベです。これ、うまかったなあ。メレンゲを作ってそれを砕いてソルベにした。ピンクのはルバーブです。アメリカではよくパイにする酸っぱい茎野菜。
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というわけで、☆は一つです。
今後は、ここから物語を組み立てていくことを期待します。
ウェイティングはにこやかで好感でした。客リストをつくっていて、同じ客に同じものを出さないようにしているそうです。

February 20, 2007

銀座 久兵衛

07-02-16

銀座 久兵衛
☆(穴子への評価っす)
東京都中央区銀座8-7-6
03-3571-6523

銀座久兵衛は「北大路魯山人や志賀直哉などの著名人も愛した創業70年の寿司の名店。ウニやイクラを初めて寿司ダネにした店としても知られ、新鮮なネタに、砂糖を使わないシャリのうまさが絶妙」と某サイトに紹介されています。

銀座八丁目という立地もあってなんだかずいぶんと敷居の高い店のようですが、実際に行ってみるとそんなことはまったくありません。なにせ1階から5階まであって、4階が待合室?、店の主人はどうも5階で上客相手に握っているという話です。で、けっこうノリは大衆鮨屋です。客層もバラバラ。観光客みたいな人とか遠出の女性層とか、なかに会社の重役タイプの人も。私たちは3人で行ってその階の一番手に握ってもらっていたのですが、後半にそんな感じの重役おじさん2人が入ってきて「すいません」と声をかけられて、「(握り手を)先輩と代わっていいですか?」といわれました。で、「先輩」というのが先輩なんかじゃなく若手なわけです。こういう「松竹梅」を逆に呼ぶみたいなのって、なんだか下品だなあ、と思ってしまいました。ま、どうでもいいけどね。

で、予約は8時半だったんですが7時以降はどうも「予約」といっても予約ではないらしく、だいたいその時間に行けば順番に入れてくれるという感じ。で4階で待ちました。4階に、その魯山人の作となる書と陶器が飾ってあります。

わたし、魯山人って、言ってること書いてることは素晴らしいと思うんですが、つくってる焼き物とかはすごくいやなの。下手クソ。書だって、ひどい字です。勢いがあるとかいうそういうレベルですらない。下手クソ。バランスだって悪いし、捨ててあったらだれも拾わないだろうって、そんな字や陶器。それをみなさん、どうしてああも国宝級のように扱うのか、よくわからんです。で、それらがガラスケースで囲って飾っている。ま、どうでもいいですけどね。

お時間30分遅れで席が空きました。で、2階に通されました。メニューは、おまかせ12貫プラス巻物で10500円です。ふーむ、この根付け、微妙です。だって、アップステアーズに行けば料理食って鮨食べて75ドルですからね。しかしここは老舗の鮨屋。銀座に久兵衛ありといわれた店です。いっちょう、食してみようじゃありませんか。

で、中トロから出されました。ふうん。そうなのか。
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で、平目、縞鯵と続きます。
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で、イカ。え、紋甲烏賊ですかあ? ふうん、いくら塩でっていってもねえ。
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で、赤貝。これはふつうにうまかったね。
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次の車海老は生きてます。生で握るか軽く茹でるか、と訊かれます。これはぜったいに茹でたほうが美味しいのです。生きた車エビは硬すぎてね、甘みがなかなか出てこない。ところが軽く茹でる。これだと身もとろけるように美味しくなります。で、そのとおり、たいへんうまくできました。でも、かあさん、わたしのあの海老の頭はどこへ行ったんでしょう? 焼いて出してくれればいいのに、そんな素振りはありません。がっかり。
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続いて、ここが最初に鮨種として使ったという雲丹です。はい。ま、こんなもんでしょう。
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次は大トロ。うーん、わたしのはちょっと筋が入ってたわ。
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次が小肌。ふーん。こんなもんかな。
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で、次が穴子。あらら、これはたいへん素晴らしかった。きょうはこの穴子を食べるために来た、と思うくらい美味しかった。で、どううまいのかというと、この穴子って煮穴子なんですよね。で、煮穴子っていうとふつうはぺったりふんわりと煮て、それでそれを焼いてほわっとさせたのを出す。ところがここの穴子はやや乾いてる。ぺったりとろりの穴子もうまいが、ここは煮てから一晩冷蔵庫で置いて適度に乾燥させるらしい。それでそれから焼く。なもんで、煮穴子というよりも焼き穴子の風情があるんですね。適度に歯ごたえがあって、それが口の中でうまみを引き出す時間をくれる。大きめの1つを半分に切り分けて、最初は塩で、後半はたれで食べました。どちらともよかった。なるほど。
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そこから大根とごまの口直しに行き、巻物へと入る。鉄火、納豆、干瓢です。
で、べったら漬けが出て、〆はお決まりの卵。これもよかったですね。芝海老がゴッサリ入ってる感じの味の深さとい、食感もよろしい。甘さも素敵。
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というわけで12貫(ほんとうは、貫というのは50gくらいのすし飯の量をいうので、そんなにデカイ鮨はいまはないんで1貫って正確には2個のことを指す習わしなのですが、それじゃあこれは24個の鮨になってしまいます。ま、ここは12個のことですけどね)、かなり腹いっぱいになりました。ただし、お吸い物はまったくいただけません。永谷園のお吸い物みたいです。しょっぱいし、だしも薄っぺらだし。これは一気に興ざめ。
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さて、どう評価すべきか。
鮨メシは砂糖を使っていないせいでしょうか、かなりきれいな味がします。ご飯自体もおいしい。

ただ、この店は、ふつうにおいしい、というだけのような気もします。もう1つ気づいたのが、鮨種があらかじめ切ってあったということ。いわゆる鮨ケースというのはないんだけど、奥から人数分の鮨種が切って盛られてやってくる。それを目の前で握ってくれる。これって、どーなの? って、高級店なら思っちゃうんじゃないかなあ。でも10500円というのは高級店ですよね。

ああ、それでいま気づいた。鮨のタネがね、最初に口に含んだとき、なんだか、変な匂いがするんだ。なんだろうなあって、いままでわかんなかった。ヘンというのは、ただしべつに悪くなった味ではない。いま書いててわかった。これ、この奥で切り分けて出してくるときに使っている木のお盆のせいじゃないのか? いや、記憶が曖昧だけど、木のお盆じゃなかったっけかなあ? 違ってたらごめん。でも、舌につながる記憶の果てから思い出されるのはなんだかきっと杉の香りっていうか、生木の味なのでした。

というわけで、あの穴子がなかったら、☆は付かないでしょう。これが高級大衆店なみの5000円(税込み5250円か)だったら文句なく☆1つあげるにやぶさかではないのだけれど。ま、場所代かなあ。

おまけ。
これはお土産の穴子の棒鮨。こちらの酢飯は砂糖を入れて穴子の甘さと調和させているんですって。で、干瓢とか干し椎茸とかが煮て細かく入ってもいる。持ち帰ったわたしの新聞社時代の大先輩は「とてもおしいかった」とおっしゃってました(じつはこの日の代金も多くを払っていただいたので☆がいくつだのと偉そうなこと言うの恥ずかしいんですけどね、あは)。わたしもこういうグッと押した鮨は好きです。今度機会があったら食べてみたいですけどね。
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February 17, 2007

やくみや

2007-02-14
小料理・飲み屋
やくみや

東京・新宿歌舞伎町1-1-7-2F(ってか、ゴールデン街の並びの花園五番街の花園神社寄りです)
090-6702-4879

久しぶりにゴールデン街に入り込みました。するとあなた、いまゴールデン街、再開発っぽいってか新しいお店がたくさんできて、すごい様変わりです。話には聞いていましたが、いやはや、とてもトレンディー。みなさん相変わらずのちっちゃな店構えですが。

で、ここはあの乾きものしか出なかった時代のゴールデン街からは考えられない料理屋さんなのです。とはいえ店は2階にあって5〜6席だけのカウンター。3階にも6〜7人は入れるちょいの間があるそうですが。
そこに火器を持ち込んで、なんとちょっとした天ぷらなんかまで揚げてくれます。

カウンターの向こうで、林佐和さんという清楚な美人が、美少年のようにハンサムな動きで小アジの南蛮漬けを盛りつけたりカワハギを肝と刺身にしてくれたり鶏を柚子胡椒でグリルしてくれたりイワシの梅干し煮を小鉢盛りしたり、コゴミと蕗の薹と山ウドを天ぷらにしてくれたりセロリのおひたしを出してくれたりしてくれます。そしてそのそれぞれがきちんと日本料理の基本に忠実で(きちんとだしをとってるしね)、そこにさらに佐和さんの主張がさりげなく乗っている。

いちいちうなづいて食べたその中のイワシの梅干し煮は、ほんとに梅干しの味がすっと表に出てきていて、ふつう梅干し煮とはいっても隠し味程度にしか梅干しを使っていない遠慮したような臆病で凡庸な梅干し煮に出逢うことが多いのですが、佐和さんのはちゃんと梅干しなのです。それも押し付けがましくない程度にすっと立ち現れる梅干しの味。梅干し自体がおいしいんだね。そういったら、友達のおかあさん?だかがつくってくれた梅干しだそう。その他、その日その日で冷蔵庫から見繕ってきれいに料理を目の前で作ってくれる。聞けばやはり何軒かの料理屋さんできちんと働いてきた人なんですね。たんなる自分流ではない背筋の通り方。

お酒もおいしいのがおいてありますよ。はやりの焼酎も選んで各バラエティがそろえてある。日本酒もいい。ビールはハートランドの生をクリームのような泡で蓋して注ぎ入れてくれます。おまけにワインまで美味しかった。カリフォルニアのシラー「Heart of Claudia」、ボトルで3500円だって。よく見つけてきたねー、こういう値段で出せる美味しいワインを。それだけ取っても誠実な店だということがわかります。

こういう店は誠実な人しか行ってはいけません。大切にしなくてはならない店です。佐和さんとそのパートナーの女性の2人が切り盛りするこの店に、あるいはその2人に、意地悪をするやつはオレがゆるさない、ってそんな気分になる店です。ええ、わたし、完全に惚れてしまいました。はは。

January 24, 2007

いちむら Ichimura

2007-01-22

いちむら Ichimura

1026 2nd Ave.(Bet 54th & 55th)
New York, NY.
212-355-3557

とてもたたずまいの正しい店です。お鮨屋さんはオープンキッチンですので、しかもここは例の鮨の冷蔵ケースが目線を遮っていないのでまな板がカウンターと同じ高さで見えています。店主の市村さんの一挙手一投足(脚先までは見えないが)が丸見え。市村さんの動きは優雅です。まな板に置く包丁の位置がきれいです。それだけでちゃんとしたところに来たね、とわかります。

聞くとご出身は茨城県下妻市。80年に拉致されてNYに来た、ととても冗談を言うとは思われない穏やかな口調でおっしゃいます。れいの有名店「竹寿司」で働いてきたそう。ここは「ニューヨーク竹寿司物語」という本になっている店です。NYで最初の鮨屋さん。いろいろな苦労とお鮨大好きなアメリカ人の反応が記されています。

さてその市村さんがここに店を出したのが2003年。前は「瀧乃」という天ぷら屋さんがあったところ。
店はカウンター、テーブル席とも15席ずつほどのこぢんまりした構えです。

つまみは頼まず、即、鮨を握ってもらうことに。お任せでいただきました。
ヒラメ、金目鯛、真鯛、甘エビ、コハダ、〆鯖、中トロの漬け、炙りトロ、イクラ醤油漬けと雲丹の軍艦、ネギトロ巻き、かんぴょう巻き、穴子白焼き、煮蛤、卵、鯵、さっきより深い中トロの漬け、真鯛の昆布〆

あら、思い出すまま書き出してみると、けっこう食ったなあ。書き忘れもあるかも。ははは。

金目が甘くておいしかったです。
コハダの塩加減がよかった。
で、鯖の〆方が最高。

〆鯖は、いつごろからでしょうか生っぽく浅く〆るのが流行ってきて、それはそれでよいのですが、この「いちむら」の鯖はきちんとしっとりと〆てあって、やわらかくて口の中でとろけます。やっぱり〆鯖ってこういうもんだよなあ、って思い出しました。薄めの二枚が酢飯を包むように握られています。その薄目の二枚というのもこのしっとり感のカギなんでしょう。美味いです。

あとはイクラの醤油漬けの軍艦のその海苔がおいしかった。雲丹と海苔は互いの甘みが入り込んじゃってよくわからないんだけど、醤油漬けのイクラって、海苔と合うんだよね。その海苔がこうも香り高かったら何をかいはんや。

かんぴょう巻きのかんぴょうもしっかりとキャラメル色で、山葵はNYの鮨屋のあの青々した山葵だけど、その山葵の味と絡まって美味しかったわ。

酢飯の酢の具合がちょっとゆるめです。でもそれは好みだからなあ。私はもうちょっと酢が感じられるのが好き。ネタにも拠るけど。でもご飯の炊き具合が硬くなくやわらか過ぎもせずちょうどいい。これも好み。

いっしょに行ったコータさんがワインがいいと言うのでシャブリ(45ドル)を飲みました。このシャブリも悪くなかったです。鮨とも合わなくもないワインがあることはある。まあ、「合う!」ってほどではないんだけどね。NYじゃやっぱ、ワインのほうが安いし。

というわけで、最後に「金目鯛や鯖がおいしかった」と口にしたら、市村さん、「あ、今日の味は今日で忘れてください。今度いらしたときにまたおいしいと思えるものをお出ししますから」と。なるほどね、一期一会ですか。とてもいい気持ちで店をあとにしました。

お勘定は2人で税金やチップを入れて計320ドルでした。じつに納得できる値付けです。ごっそさんでした。

WD~50

2007-01-21
ニューアメリカン
WD~50
料理 ☆
デザート ☆☆☆
50 Clinton St.
New York, New York
212-477-2900

いまやニューヨークで最もヒップなレストラン街となっているクリントン・ストリートにこのレストランはあります。ロウワーイーストサイド、ハウストンの東端に近い位置から南に伸びる一角です。この一角の再開発のきっかけは1999年の71 Clinton Fresh Food というレストランでした。そこを父親とともに開いたのが今回、wd~50でシェフを務めるWylie Dufresne(ワイリー・デュフレスヌ)です。wd~50はもちろんそのシェフの頭文字と住所ナンバーから来ています。2003年4月の開店だそう。デュフレスヌはいま36歳、ジャン・ジョルジュでスーシェフを務めていたといいます。うーん、わたし、ジャン・ジョルジュ、あまり(というか、正直言うとまったく)感心したことがないの。

アップステアーズの真ちゃんと2人で行ってきました。NYは寒い日が続いています。6時半の予約。店構えはなんとなくちゃち。大学祭の模擬店みたいな感じは店に入ってすぐの白木のバーやクロークがベニヤみたいに見えるからでしょうね。でもメニューはずいぶんと強気です。アペタイザーが15ドル平均、メインは30ドル。ちょっとしたグランメゾンみたい。で、やっぱりここでも105ドルのテイスティングメニューを頼みました。それに65ドルのワイン・ペアリングです。

で、結果は、というか経過は、料理はほとんどディフォーメイション(変形)とディコンストラクション(脱構築)の「エル・ブリ」スタイルです。やっぱりフェランの革命は大きいんでしょう。でも、こういうスタイルを一度知ってしまった人たちに、果たして最初の「ええ? 何、これ? どうしてこうなるの? うわぁ、すごい、面白い!」っていう感動は、どうなんでしょう、再現されるのでしょうか。どっちかっていうと、ああ、頑張ってるなあ、ってなってしまうんですよね、私の場合。で、最終的には、それで美味いのかどうか、ということなんですよね、やっぱり。それに、たとえフェランがやっていないこと、やったことないこと、知りもしないことでも、こういうのって、あ、エル・ブリだなあって思われちゃうでしょ。それ、かわいそうですよね。たとえば英国バークシャーにあるヘストン・ブルメンタールの「ファット・ダック」。ゴーミヨーで19点、ミシュランで3☆というすごいレストランだけど、フェランがいなかったら、もっとすごいと思われてたろうなあと。

ま、御託を並べてないでとっとと食い始めましょうか。まあ、すごいってほどじゃないけど、まあまあ美味いですよ。まずくはない。でもね、あとで書きますが、ここはデザート。ペイストリー・シェフのアレックス・スッテューパック(Alex Stupak)ってのが、これは私、参りました。素晴らしい。26歳です。うーむ。

ということで、最初はどかんと「フラットブレッド」が配置されます。これ、どっちかというとインドのぱりぱりパンに似てるものすごく薄いクラッカーですね。
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で、ファーストコースは烏賊ヌードルですって。その上の褐色のヌードルはオリーブのジュースを固めた麺ですね。そこにパラパラとオレンジ・ソイル(乾燥オレンジの粉末です)がかかっていて、向こう側の緑のはアルグラ(ルッコラ)のペーストと呼んでます。烏賊はスクイッド、ちっちゃなヤリイカですね、それを湯がいて千切りにした。うーん、ヌードルには日本人は驚かないなあ。これではアルグラのペーストの味が際立って緑っぽくておいしかった。アルグラとオレンジって合いますからね。でもそれだけかなあ。

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2品目は、これ、目玉焼き(サニーサイド・アップ)。

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笑っちゃうけど、おいしいです。何かというと黄身は人参ジュースになんかの凝固剤を入れて丸く凍らせる。で、室温に戻すと表面だけが固まっていて形をホールドする。下の白身はココナッツジュース。それに上手い具合に寒天みたいなのを混ぜて、これ、ほんと白身の食感にそっくり。上にはカルダモン塩とオリーブオイルが掛かっています。人参ジュースがおいしいの。でココナッツの味と合わさって、いいコンビネーションです。これは買いですね。

3品目は、これ、わからんでしょ?

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料理名は「フォワグラ・イン・ザ・ラウンド」、つまり球形のフォワグラ。この薄い肌色の球体がフォワグラのペーストをメソセルロースで固めたやつね。黒っぽいボールはちっちゃな麦チョコ。緑はクレソンのピュレ。オレンジ色のちっちゃな粒は、あられです。食感および塩味の加味用ですかね。で、底にはバルサミコをフリーズドライして粉にして丸くしたのがちょっと入ってる。つまりフォワグラのチョコ風味バルサミック和え、って感じね。でも、よくわからん。フォワグラの味も薄くて、最初にちょっと感じるだけで、よくわからん。なんだか、何を言いたいんだか、わからん。まずくはないが、うまくもない。ふうん、って感じ。

次。

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向こう側は冷たいカニ肉のサラダロール、それにミントの千切りが載ってる。手前はあれよ、寿司屋のガリを天ぷらにしたやつ、下に刷毛で塗ってるのは発酵ブラックビーンのペーストね。豆鼓かね。もちょっとまろやかな味をしてたからブラジルの黒豆かしら。で、どんな味かって、想像するとおりの味ですよ。黒豆ペースト、ちょっと醤油っぽくていい感じ。でもそれだけ。

あ、真ちゃんはカニとエビ類がだめなんで、なんだっけ、スモークした鰻にブラッドオレンジのゼストが載って白い千切りは黒蕪(皮だけ黒いので切ったら白、何の意味があるのか?)。で、おかしいのが黄土色のゴミみたいなの、これ、鶏皮のペーストなんだってさ。味、けっこう強くてしょっぱかったです。

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次は5品目で、これ、ちゃんとした一品料理のたたずまいでした。
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スモークタンみたいな、ピクルドタンと言ってますがね、タンのハムみたいな感じのスライス。やわらかくて優しい味です。で、キューブはマヨネーズを揚げたんだって。これも凍らせて成形してパン粉つけて揚げたんだろうね。黒っぽい刷毛目はトマトのピュレにモラーシス(糖蜜)を混ぜたもん。モラーシスの味強すぎ。これはチョコレートとメキシコの乾燥ポブラノの「アンチョ」チリなんかを混ぜたほうが合うような気がしますね。左の端にはね、手前がロメインレタスの細かい賽の目切り。向うがレッドオニオンの乾燥粉末ね。

次はミソスープ、セサミヌードル、って言ってますが、味噌ではなくてお澄ましの濃いのですね。
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ジャパニーズスープをみんなミソスープと