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ブッカー賞

アラン・ホリングハーストちんが英国文学の権威であるブッカー賞をとうとう受賞してしまいました。「スイミングプールライブラリー」でサマセット・モーム賞、次作の「フォールディングスター」でブッカー賞候補、そんで、一個、「スペル」っていう作品が入って、そんで今回の四作目での受賞。アランちゃんとはスイミングプールの翻訳のときにNYでお会いしました。ベジタリアンで、一緒に行くレストラン選びが大変だった。せっかく選んだインド料理屋がまたマンハッタンらしくにぎやかで騒がしくて、そんでアランは太い低い声でいらして、おまけにイングランド英語なものですから、わたしゃあのときゃほとんどやつが何言ってるのかわかりませんでしたね。おれのこと、あいつ、バカだと思ったと思うわ。ま、スイミングプールの翻訳は素晴らしいということになってるから、それは伝わってるだろうけど(でも、一個だけ、痛恨の誤訳があるの……内緒)。

以下、共同配信
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ホリングハースト氏が受賞 英ブッカー賞

 【ロンドン20日共同】英国で最も権威がある文学賞「ブッカー賞」の今年の受賞作品に19日、英国の作家アラン・ホリングハースト氏(50)の小説「ザ・ライン・オブ・ビューティー」が選ばれた。賞金は5万ポンド(約980万円)。
 受賞作は、主人公のゲイの若者を通じ、サッチャー保守党政権下の1980年代の英国を皮肉を込めて描いた作品。英PA通信などによると、ゲイを扱った小説が同賞の受賞作になるのは初めてという。
 ロンドン在住の同氏は英南西部グロスター州出身でオックスフォード大卒。94年の作品「ザ・フォウルディング・スター」ではブッカー賞の候補に上りながら受賞を逃した。他に英国のゲイ社会を扱った「スイミングプール・ライブラリー」(88年)など。

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「フォウルディングスター」は早川書房が私に翻訳を依頼しておきながら、編集者が変わっちゃって、翻訳を終了しても出版不況とゲイブームが去ったと言って本にしていない作品。これで出版の運びになるなんてことが起きてくれないかしらむ。しかし、こいつのはほんと、翻訳が大変なんだ。今度のブッカー賞のも訳してみたいが、文学翻訳って、しかもこの難物の翻訳となるとなおさらコストパフォーマンスがひどく悪い。

早川との頓挫によってその後はアランちんには最近、目配せしてなかったけど、まあ、読むだけ読んでみましょうか。

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