« HIVはゲイの病気です | Main | フォーリー報道について »

アメリカでいま一番のニュース

日本ではあまり報じられていませんが、まあ、それもうなづけます。日本には関係のない話だし、国際的なニュースでもない。しかし連日、いまアメリカのTV各局のニュースはこの話「下院議員マーク・フォーリーのページボーイ性的チャット問題」で持ち切りです。ページボーイってのは、政治家の雑用係のアルバイト少年たちのこと。ペンシルバニアのアーミッシュの学校での女児射殺事件や、北朝鮮の核実験宣言などを差し置いて、やはり下ネタというのは求められるんでしょうね。おまけに取材も簡単だ。

foley-mark-thumb.jpg

朝日が書いていたので引用すると以下のようなもの。そうですね、こうして中間選挙に絡めてしか書けないかもね。

わいせつメールで下院議員スキャンダル 米中間選挙
2006年10月04日20時35分
 米与党・共和党のマーク・フォーリー前下院議員(52、フロリダ州)が10代のアルバイトの少年にわいせつなメールを送っていた疑惑が浮かび、11月の中間選挙を前に波紋が広がり始めた。共和党にとっては新たな逆風になりかねない。

 独身の同氏は6期を務めたベテラン。先月29日に突然、辞職し、アルコール依存症の治療などを理由に施設に入っている。米メディアによると、少年にメールを送り、「服を脱がしたい」「興奮させたか」などと伝えた、とされる。

 下院が独自調査を決めたほか、連邦捜査局(FBI)が捜査を開始。野党・民主党は与党の「セックス・スキャンダル」を攻撃する構えだ。

 児童の権利保護を推進する議連の会長だったこともあって、共和党内でもモラルに厳しい保守派が反発。同党のハスタート下院議長の辞任を求める声もあがっている。

しかしね、このフォーリーって男、どこまでゲスなんだか。
辞職してこないだは「アルコール依存症のリハビリに入る」とかいって酒のせいにして、次には「十代のときに教会の司祭にいたずらされたことがあって」と言い訳し、さらに昨日は「私はペドフィリア(小児性愛者・少年少女愛好者)じゃない」って言って(ペドフィリアだとそれで即、犯罪ですからね)、「でもゲイだということは知ってもらいたい」だってさ。へっ、人権を斟酌されるべき「ゲイ」?

おいおい、いい加減にしろよ、です。どこまで「なにか」の所為にするつもりなんだろう。

こちらのニュースではかならずこうした事件を報じるときに、「これはホモセクシュアルの問題ではありません。これはペドフィリアの問題です」っていうコメントが入ります。つまり、こうした犯罪は同性愛者だから起こすのではなく、異性愛者でも起こす、つまりは未成年者への違法な性的アプローチという犯罪なのだ、という論理立てを明確にしておくわけ。そうじゃないと性的少数者への言われない偏見をまた助長することになるから。その辺の建前はしっかりしています。

それでもってさらに、いやいや百歩譲って彼がもしゲイだとしても、こいつはクローゼットでいままでゲイだなんてことをこれっぽっちも言ってこなかった隠れホモなんですね。それが急に「ゲイだ」なんて言うことで、いったい何を「知ってほしい」というのでしょうか。

アメリカでは隠れホモセクシュアルはそれこそ「自己責任」なのです。処世としてホモセクシュアルであることをひた隠して余計(と思われるよう)な風当たりを回避する。

「ゲイ」という言葉には2つの意味があります。1つはホモセクシュアルということ。これは単純に性指向上の用語です。もう1つは、「ホモ」から解放されて「ゲイ」になった歴史的な経緯をふまえて、誇り高きその人格形成上のアイデンティティを示す言葉です。なので、彼は性指向はホモセクシュアルでも、人格的にはプライドとともに語られるゲイなんかじゃない。しかも共和党の政治家で、同性婚や性指向による差別禁止に関しても、1996年の結婚防衛法(DOMA=結婚は男女間に限ると規定した初の連邦法)では成立に賛成票を投じた。マーク・フォーリーはそういう輩です。そんなやつがいまごろ「私がゲイだということを知ってほしい」って、どのツラ下げて言えるんでしょう。

ですからこの犯罪は、クローゼットのメカニズムが生み出した行為でもある。そんで、この記事の最後に出てくるハスタート下院議長ってのが、これがまた数年前からフォーリーのこうした“性癖”を知っていたっていうんだな。共和党も裏と表の使い分けが狡猾というかなんというか……。ちなみに保守派で知られるFOXニュースは昨日の人気番組「オライリー・ファクター」で、フォーリーを3回も「フロリダ選出の民主党議員」って間違えてました。わざとなんだかどうだか、まったくねえ。

ところでね、アメリカでこれがこうも大きく連日ニュースで取り上げられるのは、やっぱ、どうしたってこれが異性愛ではなく同性の未成年への破廉恥行為、という、ホモフォビアも絡んだ、そういう下世話な要素があるのは否めないとは私も思うんですわ。そういうのも自覚しながらニュースを見ております。

ちなみに、朝日にある「メール」というのは、正確にはインスタントメッセージです。チャットみたいなもんね。このテキストを先月末、ABCニュースがすっぱ抜きました。当の少年と2003年時点で交わされたもの。いやはや、なんともえげつない内容。

「今週末はどっかの女の子が手で抜いてくれるのかな?」とか「それじゃ自分でマスかくのかい?」とか「キミくらいの年じゃあ毎日だろう」とか、少年が「そんなにエロくないよ、週に2、3回だ」と答えると「シャワーの中でとか?」って訊きやがるの。「シャワーは朝、さっと入るだけだからやらない」といえば、「じゃあベッドで仰向けかな?」だもんね。さらに少年が「いや、下を向いて」と書くと「ほんと? どうやって? ひざまずいて?」「いや、手は使わない。ベッド自体を使う」「じゃあどこに出すんだ?」「タオルの上」「ほんと! 全裸で?」「まあね」「それはいい。かわいいお尻が飛び跳ねてるわけか」

まだ行きますか?

それでローションだとかタオルの堅さだとかいろいろ詳細に訊きまくって、このエロおやじ、どんなフェティッシュがあるだとかも訊くわけよ。で、もちろん、「いま何着てる?」「普通のTシャツとショーツだよ」「大きくなってるのか?」「ああ」「脱がしてみたいなあ」「はは」「それで1つ眼の怪獣(おちんちんのこと)を握りしめてる?」「いや、今夜はやらないよ。そんなに興奮しないでよ」「でも硬くはなってるんだろ?」「それは事実」「測って長さを教えてくれないか?」「前にも言ったじゃん。7インチ半だよ」

ってな塩梅です。
原文は
http://abcnews.go.com/WNT/BrianRoss/story?id=2509586&page=1
から始まってます。
お好きな方はどうぞ。

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://www.kitamaruyuji.com/mt/mt-tb.cgi/346

Post a comment

(If you haven't left a comment here before, you may need to be approved by the site owner before your comment will appear. Until then, it won't appear on the entry. Thanks for waiting.)