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January 14, 2008

Bar Blanc

2008-01-11
フレンチ-アメリカン
Bar Blanc(バー・ブラン)
☆☆☆
142 W 10th St(ウエストヴィレッジ)
New York, NY
212-255-2330

ブノワで食わされたあのロースト・ポークのどうでもよさを、さらに際立たせてくれると書けばよいのかそれともそれを覆い尽くして癒してくれたと言えばよいのか、とても美味しいロースト・ポークに新年早々出遭いました。そうそう、これです、ロースト・ポークはこうでなければなりません。皮をわざと残してそこをカリカリカリッとさせ、そうして肉部分はやわらかなれど肉の食感を保ってしっとりと火が通っている。もう、こんなに穏やかに幸せな気分にさせてくれるお肉はありません。まあ、ご覧あれ。

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まず、皿に置いたお肉のたたずまいまでブノワのとは違います。これは重要。料理人が、いかに自分の作ったそれを大事に思っているか、それが表れるからです。客のためのプレゼンテーションというよりも先に、まず自分の作品にシェフ自身がどれほど傾注しているかということなのです。
ブノワのはこれです。比べてみて。

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その差は味のみならず歴然でしょ。

さて、2008年最初のレヴューはグリニッヂヴィレッジに1カ月前に開店したばかりの「バー・ブラン」です。「白いバー」という意味で、フロアを除いて内装は白で統一されています。1カ月前といっても、ここを作ったのは「Bouley」のシェフだったセザール・ラミレスと、メートルディのディディエ、セクレタリーだったピエール、そして業務法律顧問だったキウォン・スタンドンの4人です。レストランがどういうものであるかを知り尽くしている彼らのことですから、1カ月にしてすでにインスタント・トップレストランです。訪問した11日は金曜日で、いやいや、店内はじつにウエストヴィレッジらしい喧噪(私たちはバースペースのテーブル席でしたのでなおさら)に満たされ、じつにニューヨークでした。

私たちは5人でテイスティングメニューを頼みました。ですので、メニューにあるのとはポーションもアレンジメントも少し違うと思いますが、印象は掴めると思います。冒頭に紹介したのは5コースの中での最後の肉料理でしたのでそれは再度、最後に詳述するとして、まずはアミューズが2つ供されました。

ちっちゃなブリオーシュ。中にちょっとだけブリーが挟まってて、さらにトリュフオイルの香りです。こんなにちっこくて、でも口にしたとたん顔の筋肉がへなっとなります。
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これはちょっと甘酸っぱいビーツのジェリーとたおやかなクレームフレーシュのアイスクリーム。フルール・ド・セルがジェリーの上に掛かっています。なかなか洒落た陶のスプーンを見つけてきましたね。
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そうして最初の前菜が2種類のマグロの刺身と、フォワグラの蒸したのです。
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向こうっ側の2つがマグロ。手前がフォワグラ。マグロはメニューにあります。
右上のがポン酢と黒トリュフのドレッシング仕立て。これはみんなちょっと塩っぱいと言ってましたが、わたしは気にならず。
左上のは黒タマネギとイカ墨と味噌のソースに、上にゴボウのフライとマイクログリーンが載ってますね。
フォワグラは、これまた蒸してまるでアン肝のように軽く上品に仕上がっています。それを定番の果物のソース(リンゴ?)の上に置いて、さらにフルール・ド・セルでカリカリ食感を加えています。木の芽が裏返しなのはご愛嬌です。これは、ほんと、鮟肝もこうやってポン酢の代わりにべつの甘くて酸っぱい林檎やブドウで食べさせても面白いかもしれないですね。

ほんでもって、次のこれも美味しかったの。
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中央のはすごい軽い羊のリコッタチーズの上にローストしたウサギの肉をいろいろ成型してスライスしたのを敷いて、そんで上に載っているのはリ・ド・ヴォーです。茶色いソースはジュですね。右上にはウサギのレヴァーペースト(といってもものすごく滑らかでクリームたっぷりの絶品)。手前と奥のマイクログリーンに隠れているのはちっちゃなクリミニマッシュルームを甘酸っぱく漬けたもので、これがまたファッティな皿のアクセントとしてなかなか頭の良い配置です。
んで、うまいんだ、このコンビネーション。ウサギの肉のやさしさ。子牛の胸腺の火の加減。セザールって、こんなに肉料理が上手かったっけ? これはメニューでは前菜のところにSlow Roasted Rabbit and Sweetbread Saladとして表記されています。
いやいや、困ったなあ、こういう素敵なレストランがあちこちにできると、金がいくらあっても足りなくなります。

次は何? そうそう、これ。ホタテ。纏っているのはフィロ・ドー(薄いパイシートみたいなのです)、で、奥にエスカルゴが2つ隠れています。
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いやいや、こう振り返るとやっぱり美味かったんだなあ。どんどん味を思い出してしまってまた食べたくなってくる。メニューにもPan Seared Jumbo Scallopというのがありますが、これはエスカルゴも入ってるしソースも違うかもしれません。このスープっぽいソースの緑はたしかタラゴンです。エスカルゴにタラゴンが合うところからの即興かもしれません。ホタテのジュースがベースでしょうか、全体をなんとなくシトラスの風味とともにまとめあげています。

そんでもって、写真ではなんだかわからんが、低温調理のサーモンです。
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サーモンはとろとろほろほろです。その上にプレザーヴド・トマトを掛けて、そこにハーブのパスタのシートを載っけて、そこにさらに白ワインの泡のソースを覆いかぶせてるんですね。
これね、じつはわたし、いちばん面白いと思った。このジャム状にしたトマトが何とも味が濃くて、オレンジの味まで含んでいる。サーモンのオレンジソースは定番ですが、このトマトがめちゃくちゃ濃くて美味しいのです。でも、残念ながら塩っぱすぎたの。量で調節して、もっと少量にすればよかったのかもしれませんが、そのアンバランスによってトマトの濃さに占領されちゃった感。ウーム、残念。

そんで料理コースの最後は冒頭のポークです。
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メニューではMilk Fed Porceletとあります。乳飲み子の豚の仔っこ。うー、かわいそ。心して食させていただきましょう。というかほんと、こういうのを不味くするなら調理人は罪人です。
中央のがそのロースの部分ですね。脂身の部分まで付いているのが日本人の私にはうれしい。左側に、さらにその脂身を越えてカリカリの皮がちょっと剥がれているのが見えるでしょ? うひひ。
で、右奥のはバラ肉部分の角切り。その上から橋のように渡されているのはクラッカーの上にその豚の頬肉とかで作ったテリーヌをちょぼちょぼと並べているわけですね。
バラ肉部分は調理法が違うのか、もっとワイルドな味がしますが、とにかくこのロース部分が美味しい。しかも下に敷いているのが芽キャベツの賽の目切りの、なんというの? ちょっと甘酸っぱい感じのもので、これも豚肉にぴったりなんだ。ソースは2種類。肉汁にシナモンとスターアニス(八角)のと、オレンジのです。これがまた押し付けがましくなく、さりげなく肉の味を両脇から支えるのです。

というわけで、腹一杯になって、デザート。
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オヴンから出したての熱々のアーモンドケーキと、洋梨とマスカルポーネのソルベ。
そんなに甘くなくて美味しい。まあデザートメニューは驚くというのではなく、手堅くという構成です。
デザートを凝るのはやはりグランメゾンですから。ここはほんと、スペースといい造作といい、ご近所のしゃれたレストランという位置づけ。デザートで客を惹き付ける必要はないでしょう。

でも驚いたのが食事が終わって厨房に謝意を伝えに訪れた時です。(中央の笑顔の眼鏡がセザールです。あら、彼、腕にタトゥー、すごいな)
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10人以上が働いてるのです。この規模でこのクックの多さは贅沢なもんです。素晴らしい。

さて、初回の訪問はじつに満足の行くものでした。
Allen & Delancey のときにも書きましたが、ニューヨークはいま、第2次なんだか第3次なんだか、レストラン業界に新しい波が生まれています。一流どころで修行したシェフたちが続々と自分の店をオープンさせて、それがいずれもなかなかよい仕事を見せています。Allen & D はいま現在、もう予約の取れない人気店です。

そこでこのバー・ブランの参入です。
この日の料理はいずれも実に洗練されたもので、ブーレイの尾っぽをまだ引きずっているようにも感じました。というか、ブーレイがセザールの料理だったのですが。
私が今回、サーモンのトマトに惹かれたように、今後はもう少し尖る部分もあっていいのではないか。何せここはヴィレッジです。顧客層も若い。大人の味と同時に、食べると思わずニヤけてしまうような遊び心のある皿を見せても面白いと思います。

本日のテイスティング・メニュは1人90ドル。
ワインは50ドル前後でじゅうぶんに美味しいものがそろっています。
私たちはサンセール($48)から急に贅沢して2003 Chateau de Puligny Montrachet Puligny Montrachet Folatieres($148)、2002 gevrey chambertin sarl maurice chapuis($105)といただきました。

January 02, 2008

ブノワ

2007-12-15
フレンチ
Benoit(ブノワ)
☆なし
東京都渋谷区神宮前5-51-8
ラ・ポルト青山 10階
03-5468-0881

泣く子も黙るアラン・デュカスの東京ビストロ。ミシュラン東京で☆1つ獲得したそうで、この日はランチで5500円のコースを食べました。が、まったくいただけませんでした。シェフが不在だったのでしょうか、どれもとんでもなくしょっぱいのと、味がだれているというかボケているというか、ひどいもんでした。周りは女性客で溢れていましたが、こんなものを食わされてこれがフレンチ(地中海風と銘打ってはいますが)だと思わされているならかわいそうです。まあ、サービスは悪くなかったですけどね。

5500円のコースはオードブルメニューから2品、前菜から1品、メインから1皿、それにデセールですが、値づけがまず高すぎます。青山の国連大学ビルの並びなんですけど、地価でしょうか。

私はオードブルから牛のタルタル(左)とズワイガニのアスピック仕立てを選んだんですが、だいたい、このズワイガニの容器が口の狭いつぼ型で食べづらいことこの上ない。なんか、ジャムを入れるガラス容器の使い回しみたいな感じで、なんでこんなもんに入れて出すんでしょうか。牛のタルタルもべつに何ですかって感じで、ワインはサンセールを頼んだんですが、これを食べてワインを飲むとちょっと味が変わって面白いのはたんにウスターソースのスパイスのせいでしょう。

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前菜なるものは地野菜のブイヨン煮を選びましたが、この野菜、まったく風味も食感も死んでしまっていて、ブイヨン煮というよりもブヨブヨ煮。そこらのスーパーで買った野菜だってうまく調理したらこれより美味いはずです。コンソメブイヨンも煮詰まった感じで香りがボケていて、なおかつとてつもなく塩っぱい。まいったね、こりゃ。

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とどめはこの鹿児島産黒豚のロティ。
エシャロットのコンフィとほうれん草が添えられていますがね、このソースはシャルキュティエ(豚肉加工職人風)と呼ばれるもんなんだけど、炒めたまねぎ、ピクルス、粒マスタードが入ったソースなのにそのいずれの風味も平坦に塗り込まれた泥壁みたいに一元的で、何なんでしょう、これは。そんで、やはり塩っぱい。

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それと、ロティというのはローストってことなんですが、この豚肉、バラ肉の部分なんだよね、それを長時間の低温調理でまず下処理してから焼いてるもんだから、ローストの食感がなくてまるでシチュウ肉のように柔らかくて気持ち悪いの。ローストってさ、頼む人は低温でじっくりオヴンで焼いたり、あるいは火にかざして焼き付けるものをイメージしてオーダーするんですよね。で、柔らかくても端がかりっとしてて、ナイフ入れるとまだ食感の残る肉から透明な肉汁がしみ出してくるのを期待してオーダーしてるわけです。口の中で噛むごとに肉の味を楽しむ、みたいな。でも、これ、肉の味もしない。前述のようにソースも単調。まあね、ローストビーフでもこういうのあるけど、ビーフの場合は中がピンクでいいから。でも豚だとね、ぜんぶ火を通すというオブセッションでこんなにぶにょぶにょに処理しちゃうのかもしれないね。でも、なんか違うでしょって思っちゃう。こういう肉が食べたいならシチュウを頼むもん。そうだなあ、ああ、スペアリブでこういうふうにむやみに柔らかく処理しちゃってるのがあるなあ。あれも苦手だなあ。なんか、先に茹でてるんじゃないの、だから味がもう逃げ出ちゃってるんじゃないのってな感じの。

全般的に言って、フランスに行くと何でも味が濃いのはわかりますが、でもそれはそれで味がしっかりと主張してるもんです。でもここのブノワ東京の味は、主張なんかしてない。怠慢な印象がする。

凡庸とはこういう味をいうのでしょう。ディナー・シェフは知りませんが、すくなくとも私の食したこの日のランチは(そうして連れの頼んだ別のメニュー、リゾットやヒラメのソテーなども)、わざわざ高い金を払って食べに出向くようなもんではござんせん。
デセールもまったく面白味のないものでした。
以上。

November 07, 2007

ALLEN & DELANCEY

2007-11-02
フレンチ・アメリカン・イングリッシュ?
Allen & Delancey
☆☆☆
115 Allen St.
Manhattan, NY
Lwer East Side (at Delancey St)
212-253-5400

いま確実に、NYにレストランの第2次ルネッサンスが訪れていると思います。
おそらく30歳前後の新しいシェフたちが、続々といま独立したりスポンサーを見つけて店を出したりいます。その中で頭角を現す者たちが、5人もいればすごいことです。

彼らはいわゆるXブーレイ、Xダニエル、Xグラマシー・タバーン、Xどこそこなのです(エックス〜〜と読みます。かつての〜〜という意味で、つまりむかしどこそこで働いていたやつ、ということ。ちなみにマイ・エックス・ボーイフレンド、は私の前の彼氏、という意味です)。

NYは90年代初めからいわゆるブーレイが牽引役となってダニエルが出てきてジャン・ジョルジュが現れ、ル・ベルナルダンのトップがエリック・ルペールに代わり、グラマシー・タヴァーンのトム・コリッキオが追いかけておそらくモダーン・キュイジーヌの第一次黄金期を形成した。そこにデュカスやナパのトーマス・ケラーがやってきて、一気にテーブル単価を高めた新型のレストランビジネスも持ち込みました。

で、そういう人たちはいま50歳前後なのですね、もう。

それで、そういうところを経験した若手たちが出てきているのです。それが20代30代の若手。これはじつはこの日のアレン&デランシーにやってきたから気づいたことではなくて、その前に10月29日にチェルシーのはずれのTrestleというちっちゃい普通の街角のレストランに入って、そこが伏線になって考えたことです。そこで食ったものがとてもエスプリに溢れておいしかった。え? なに? だれなの? と思ってウェイターに聞いたら、グラマシー・タヴァーンで料理していたロルフというシェフだと言う。ふーん、グラマシー・タヴァーンは最近行ってなかったけど、90年代の後半、ブーレイが閉まっていたときに唯一通ったレストランでした。トム・コリッキオの店です。最近、シェフが代わったみたいだけど。

いや、今日はALLEN & DELANCEYの話です。

ここのシェフは、じつはすでにここで書いたことがあります。
ニール・ファーガソン。
ゴードン・ラムジー@ザ・ロンドンNY。そこのオープニングシェフで、私が食べた後であそこをやめ、それでどっか郊外に行っていて、最近1か月ちょっと前に戻ってきてこの店を開いた。

ゴードン・ラムジーには☆☆☆を付けました。再訪していないので、ニールがシェフじゃなくなってからどうなっているのかは検証の必要があります。

さて、このニール、やはり素晴らしいのです。「ゴードン・ラムジーのレシピを再現する」という宿命を与えられたレストランでも、おいしかったのはやはり彼の差配のせいだと、この日改めてわかりました。
で、調べてみたら、彼、パリのラルページュ (L'Arpege)やブルゴーニュのレスペランス(L'Esperance)で働いてたのね。ふーん。アルページュは最近あんまり評判よくないけど、両方ともミシュランの3つ☆ですもんね。

さて、店名のとおり、ここはロウワーイーストサイド、アレン・ストリートとデランシー・ストリートの北西の角にあります。店内はほとんどロウソクのみの明かりで構成されています。まずバーカウンターがあって、奥に二つのダイニングルームがあります。べつにかしこまってません。カジュアル、アンド・エレガント、って感じです。またマリアさんと行ってきました。
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オープンしてまだ1か月ちょっとなのでテイスティングメニューもワインペアリングもありません。おまけにテーブル席もなくてバーカウンターでの食事です。でも、テイスティングメニューとワインペアリングをやってくれました。いずれは必要になるんだもんね、われわれを実験台にやってみればいいのです。

ということで、メニューからの小さなポーションでの組み合わせとなりました。
しかし、ゴードン・ラムジーのときにも言いましたが、ニール・ファーガソンはブラウンソース系がうまいのです。なんといいますか、かなり男っぽい。それも、さわやか系の男、って、言ってることわからんわね。はは。

じゃ、行きますか。

Shavings of Hamachi, Pink Grapefruit Beads, Pickled Fennel Bulb
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ハマチ、好きなんだよねえ、こっちの人って。わたしはほとんど食わないです。トロだって、よほどおいしいって言われなくちゃ食べないもの。赤身は食うけど。
で、ふつうは英語でイエローテイルっていってたんだけど、最近のスシブームで、みんなハマチって呼ぶようになった。そんでそのハマチです。シェイヴしてます。つまり削ぎ切りです。でね、そのリッチな脂っぽさを、グレープフルーツの酸味で中和します。ピンクのグレープフルーツなのは、味というよりも色合いの美しさでの選択です。そこにやはり甘酸っぱく漬けたフェンネルが散らしてあります。それとイエローベルペッパーのみじん切りも。
グレープフルーツは、ハマチに合います。はは。おいしいの。情けない、かんたんに宗旨替え。

Caramelized Bone Marrow, Caviar, Shallot Puree
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でね、これ、ヒットです。骨髄です。それをきっとオヴンで焼いてずるっと出したのをまたそのまま焼くのかな、ソテーするのかな、ソテーしたら溶けちゃいそうだな、どうするんだろ、とにかくキャラメライズします。そんでね、そこになんと、キャヴィアを載せちゃうのよ。キャヴィアみたいな高価なモノを、ってんで驚いてるんじゃないのよ。なんと、ってのは、どういう組み合わせですか?っていう驚きです。それが、合うのよ、あなた。このキャヴィア、でも、チョウザメのキャヴィアかなあ。なんか、もっとあっさりしてたような気がします。この濃厚な塩味が、骨髄の濃厚さに別の角度の濃厚さを加えて、うまいんだ。驚いたね。
下に敷いてあるのはエシャロットのピュレです。それと茶色いジュは子牛とかのジュですよね。中に何が混じっているのか、何となくナッツのような気もしたんですけど、ナッツは入れてないと言います。しかし、これは何ともじんわりとおいしかった。すばらしい。あ、そうよ、ニール・ファーガソンはこういう茶色いソースが上手なのよ、そうだったそうだった。
奥に写っているのはいっしょにどうぞっていう付け合わせのトーストしたブリオーシュです。

Sea Scallops, Celery Root Cream, Braised Cippolini Onions, Verjus
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ほら、ホタテもこういう茶色いソースです。というか、ヴェルジュという、未熟なグレープの果汁と熟したグレープの実と、梨かなあ、この四角いの。それと丸い茶色のは小タマネギのカラメライズしたやつですね。ピュレはセロリの根です。これもさりげなくおいしい。おほほほほ、って感じです。
そうねえ、味のメリハリなのかなあ。

Braised Fluke Fillet, Cauliflower Cream, Parsley Root, Trompettes
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でね、お魚もうめえのよ。これね、ヒラメ。それをブレイズってのは油でいためてそれからちょっとの汁を使って蒸し煮にするという感じなんだけど、もうこの塩焼きっぽい感じに、下に、なんだったっけなあこの野菜。白いのはカリフラワークリームだって。で、隠れてるけど、パセリの細い根っこがグリルされて敷いてあるの。パセリの根っこなんて、初めて食ったわ。そんでほんとにパセリの根っこの味がするのです。はは。
で、このお皿、全体としてとっても清楚なうれしい味がしました。うひー。

Slow Roasted Porkbelly, Pickled Pear, Parsnips, Fenugreek Syrup
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お肉はこれです。斜めになっててわかりづらいけど勘弁。豚バラ。これをゆっくりロースト。それで、手前はエリンギです。ちゃんと隠し包丁が入ってるよ。左のごろんとしたのはパースニップ。緑のはサヴォイキャベツ。手前の紫はワインに漬けたんだろう梨です。泡は忘れた。ぽつぽつ落ちているのがフェニュグリークのシロップなんだろうなあ。ワインペアリングやってたんで、この辺から記憶が雑になるわ。
でも、しっかりとおいしうござんした。

American Cheeses from Saxelby’s
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アメリカのチーズの取り合わせも出してくれました、梨とイチジクが添えられています。
そうね、梨がこんなに出てくるから、ホタテに付いてきた四角いのは梨じゃなかったかも。すんません。

で、デザートです。
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はーい、楽しうございました。

コースはぜんぶで75ドル。
ワインペアリングは45ドルでした。
普通にアラカルトで頼むとアペタイザーが15ドル前後、アントレが25ドル前後です。つまり40ドル+ワイン+デザートで食べられちゃう。
今回のこのコースとワインも、すんごいお得感いっぱい!

ところでわたし、いっつもめんどくさくてワインのメモはしないんだけど、ほんとはこういうブログではワインのこと知りたい人も多いんだろうなあ。こんどからメモすることにしましょうか。でも、そうすると料理が楽しめないんだよね、せわしなくて。ウーム、悩む。

で、帰り際、地下の厨房にシェフに表敬訪問。金曜の夜ということもあってすんごく込んでいました。
お忙しいところ、ありがとうね、ニールさん!
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満足して帰りました。
ごっつぁんっす!

June 04, 2007

ラルテミス・ペティアント

2007-06-03
フレンチ
ラルテミス・ペティアント(L'ARTEMIS PETILLANTE)
☆☆
東京都渋谷区神宮前2-31-7 ビラ・グロリア1F
03-5786-0220

May 14, 2007

Upstairs

2007-05-12
懐石・鮨・フレンチ
Upstairs at Bouley(ブーレイ・アップステアーズ)
☆☆☆
130 West Broadway
(corner of Duanes St.)
NY., NY.
212-219-1011

しかし、名だたる菊乃井やおけいすしやゴードン・ラムジーやらに同じ3つ☆を付けてるんだけど、どう考えてもここはまったく「格」ははるか下です。だって割烹においてはカウンター席というのは上席なんですが、ここはアメリカ。カウンター席はファストフード用と受け取られている席扱い。しかもその席はL字型で6席しかなくて、その向こうの調理スペースは1畳分もないようなところに2人の板前さんが入っているのです。

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(こうです。向うが三上さん、右側が山田さん)

おまけにここのウエイターたるやサービスは最低、さらにひどいことにじつにひんぱんに勘定書を間違える。百歩譲ってアメリカ人だから日本料理のことが分からないというのはしょうがないかもしれないが、頼んでもないものがついていたり、2人なのに3人の計算になっていたりは日常茶飯事。ですんで、ここで飲み食いする時は、最後に必ずきちんとビルを見てチェックアウトしなければ後から何でかなあといやな思い出し方をすることになります。ですんで必ずチェックアウトです。まるで満員電車から降りるたびにスリに遭わなかったかとポケットを確かめる癖がついてしまうようなもんです。

なのになんで☆3つを付けるのかは、ひとえにただただ、うまいからです。確かにここは美味しい。
そうじゃなきゃとうに来るのを辞めている。いやな思いをしても食べたくなる。困ったもんです。
前にも書いたが、☆の数はかなり客観的に料理の質です。もっといえば味だけの点数です。

さてこの日のアップステアーズは初夏のメニューに変わったということでのレビューです。

日本の食堂には大きく分けて割烹と料亭があります。もっとも、東京では料亭というのは政治家や経済界の重鎮たちが密談を兼ねて会食をするところ、みたいなイメージがありますんで、30代半ばで東京を離れた私なんぞには、しかも新聞社では社会部だったこともあって、世に言うバブル期ではあったもののそんな大層なところに行く機会なんぞそうそうあるはずもありませんでした。でも、京都の料亭というのは違うようですね。嵐山の吉兆はお昼でも3万円以上しますが、座敷に上がって上げ膳据え膳ですからその値付けもむべなるかな。でも菊乃井なんかはもっと安い。これに瓢亭を加えて3大料亭でしょうか。これはいわばフレンチでいえばグランメゾンです。客の要望に従ってきちっと台本を組み、多少の遊びはあろうものの寸分の隙もなく大団円までを演じ切る。交響曲を最終楽章まで奏でるようなもんです。

一方の割烹は即興が命のジャズライヴみたいなもん。レパートリーは用意してあるがその日そのときの客の反応で思いつくまま自分の抽き出しを開けて変奏してみる。このアップステアーズは、形式はファストフード・カウンターの扱いですが、心意気は割烹です。当意即妙、臨機応変。メニューどおりには事は運ばない。まあ、でもこの狭さでメニューにある料理も、つまりは店内のテーブル席から来る鮨の注文や一品料理の注文もさばかねばならないので大変でしょうがね。

先日来、デギュスタシオン、そして饗屋と出かけましたが、この2店、じつによいながらもメニューのバラエティがそう豊富というわけではないので、さてその辺のメニュー以外の守備範囲がどこまで広いのか、次の来店あたりから確かめてみたい気もします。

この日の一品目はシェフ三上さんの漬けた海鞘(ほや)に生雲丹を載せてアラレを散らしたもの。
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漬けたばかりの海鞘のその漬かりが浅くて、まだ生の海鞘の磯の香りが立ちのぼります。それをいいあんばいの塩が表層部分でくいっと押さえ込む。まさに海のミネラルの甘みと塩み。そこに雲丹の脂分の甘みが覆いかぶさる。絶妙です。海鞘はこのくらい漬かりが浅いうちのほうがいいかもしれません。いや、わからん。漬かり込んだら漬かり込んだでまた美味くなるかもしれない。そのほんの微妙な違いを知りたくなる、そんなミニマリズムの結晶です。

2品目は山田さんの作り立てのごま豆腐です。
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これは見事です。じつにクリーミーでごまの風味がぱあっと口の中に行き渡るのに、どこにも味の力みがない、じつに穏やかな、悟ったようなごま豆腐です。しかもこの日は出汁つゆでまっすぐ勝負です。かつ節がすごく利いているのに、そのうまみをすべて抱き込んでしまうような、やさしく、たおやかなごま豆腐。色気すら感じるわ。
すごいねえ、と言ったら、これ、山田さんが吉兆時代に学んだ作り方なんですって。そんで、吉兆はあの、精進料理の神さま、じゃねえか、仏さまか、といわれる尼さんで有名な大津の月心寺のごま豆腐の作り方を伝授してもらっているんですって。なるほどねえ。すごいもんだなあ。

そうしたらこんどは三上さんから、卵豆腐です。
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卵豆腐とはいえ、ひとくち口に含んで、やられました。フォワグラの脂を使ってる。三上さん、「これは月心寺ではなくて、うちの近所の◎×寺に伝わるもんです」なんて軽口を叩いていましたが、じつはこの日来る前に電話で冷たい茶碗蒸しとか食べたくなるんですよねと言ったら、これを作っていてくれてたというわけ。なかにはロブスターの身と海老の身とハートオブパームとそして百合の根が入ってました。うめえったらありゃしません。

次は焼き物です。
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これもすごかった。右側が鱧(はも)。どういう発想か、ヤングコーンを巻き込んで蒸して焼いてある。このヤングコーンが食感といい、不思議にアクセントとなって鱧のうまさを引き立てています。わさびもいい。
左側は太刀魚。これ、なんかの漬け焼きだなあ。ちょいと干してもあるんだろうか、素晴らしい旨味。おまけにアワビの出汁の入った鼈甲餡がかかっているのです。
ピンクのはギョウジャニンニクの茎の部分の甘酢漬けです。

ほんでもってお次はお肉と来ました。
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ラムです。うみゃー。
ちゃんと日本食になってるの。このラム、ブーレイの食材をかっぱらってきたっていってましたが、まあ、確かにものすごく質のいい、臭みのまったくないおいしい肉であるのでしょう。三上さんはそこにポケットを作って里芋のつぶしたのを忍び込ませ、そんで、どうやって味付けしたのかなあ、ひょっとしたら醤油と味醂と酒だけかもしれない、クセのある羊肉をとても素直な、おとなしいよい日本の子にしてくれました。添えの野菜の相性の良さはいうまでもありません。ラムの餡ときちんと通底しているのは野菜のすべてが出汁に浸されていたからです。

んで、次のこの穴子の煮こごりで私はぶっ飛びました。
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口に入れるや否や、イノシン酸もグルタミン酸もグアニル酸も、炸裂です。なんじゃ、これは、という感じ。
参りました。おまけに雲丹も入ってるし。
で、この煮こごり、その「こごり」方がふるふるなの。もう、固まるか固まらないかのそのちょうど境界線上で綱渡りしているような危うさ、淡さ。パン、と手を叩けばそれだけでタラタラと液体になってしまうような、そんな感じ。あの栗原はるみの危ういゼラチン菓子よりもさらに儚い陽炎のような。あはは。でね、じつはこの煮こごり、かなり黒七味が利いてるのです。それがでも逆に味の深みを教えてくれるのさ。ちょうど、海底に射し込む一条の夏の陽光が遠い海面までの距離を教えてくれるように。
ほんと、これ食ってて、途中、涙出るかと思ったくらい。
旨かった。

なんだか元気になって、まだ食える、って言ったら出てきたのがこれ。
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コウベビーフの切れ端(笑)をマグロに見立てて、ヅケにして焼いたものの上にとろろならぬ、長芋素麺を短く叩いたものを載せたもの。マグロの山かけの変形ですわね。でも、マグロとは違う牛肉のグレイン(筋め)の質感には、すりおろした芋ではなくてこうしてみじん切りのようにした長芋のほうがちょうど同じような食感、質感になって、それらが呼応し合って面白い効果を出しているのでした。こういうのを瞬間的に判断するというのか、それともそこまで理として考えているのではなく直観的にわかってしまうのか、その辺が三上さんのすごいところです。

いやいや、堪能しました。
このあとは鮨に移り、カニのミソ和え、鯛と千枚漬け、〆鯖、白ミル貝、大トロ、マグロ赤身漬け、ホタテ、いか、鯵叩き、と握りでいただきました。
腹いっぱい。大満足。
しっかし、この2人にちゃんとした場所とちゃんとした器を与えて、ちゃんとしたウェイティングスタッフで仕事をさせてあげたいものです。いや、言い方が違った。仕事をしていただいたら、客としてそんな幸福はありません。

で、しっかり、メートルディの持ってきたお勘定はこの日も2人で100ドル余計についておりました(笑)。
って、笑いごとじゃないわな。
いったい、どうしてこんな間違いをするんでしょうかね。困ったもんです。

May 08, 2007

Degustation

2007-05-04
フレンチ・タパス(スペインの小皿料理)?
Degustation(デギュスタシオン)

239 E. 5th St. (bet. 2nd & 3rd Aves.)
NY., NY., 10003
TEL 212-979-1012

去年の10月以来の再訪です。やっぱりここは面白いし美味しいし、はてさて、☆ではありながら、この直前のエントリーである☆☆のジャン・ジョルジュよりも褒めた書き方になるのはどうしてでしょうかね。まあ、判官贔屓かしら?

だって、見てください、このキャパですよ。厨房もなにも、オープンキッチンはコの字型のカウンター19席に囲まれたこのスペースだけ。逃げも隠れも出来ません。そこで仕込みをして調理してアセンブリしてプレゼンテーションもなかなか考えてあって、はいどーぞとなれば、そりゃあなた、感激します。
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前回はおとなりのジュエルバコのテーブルに座ってこちらから皿を持ってきてもらったのでよくわからなかったのですが、今回は目の前で展開する調理の仕組みがわかりました。やっぱり限度はあります。メニューは前菜っぽい小皿が5ドルとか6ドル、そして10ドル前後のラインがあって、メインとしても食べられるヴォリュームのある肉や魚介ものが20ドル前後です。値付けはものすごく良心的。ワインも35ドルくらいからと、とても安心して飲み食いできます。ここはなんといってもイーストヴィレッジ。その雰囲気を忘れないぞという気概さえ感じます。ただ、メニューの数は20種類くらいと限られる。おまけにいつも忙しそうで、カウンターながらいわゆる日本の割烹のようなインプロヴィゼーション、アドリブ、即興の妙みたいなものは難しいかもしれません。いや、どうかしら、もうすこし通って常連になったら試してみられるかもしれないけれど。

で、この日はアップステアーズの常連ですっかり仲好しになったマリアさんのお友達、テキサス・オースチンのスーザンさんが60歳の誕生日ウイークだということでNYに遊びにやってきて、それで3人でここでの会食となったわけです。この日は5コース50ドルというシェフズ・メニューを頼みました。で、そのほかにメニューの中から気になるものをピックアップして、追加注文という形。

一品目はその追加注文のトルティーヤラップです。なかにはお豆かしら? ウズラの卵も入っていて、上に載ってるのはハラピーニョの輪切りですね。一口料理です。いい感じです。
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それからコースに入りました。
最初はグリーンアスパラのグリル。周りにはアラレが付いています。カリカリパリパリ弾けます。で、下にたまっているのがチーズの泡ソースと、その中にポトンとポーチドエッグが落としてあります。で、スペインの生ハムであるセラノが切って添えてあります。それをグチャグチャと混ぜ合わせてアスパラをディップして食す。うまいっす。食感もいい。この卵とセラノの組み合わせは、ブーレイのコースでも出てきたことのある定番。こちらはアスパラ・ベーコンからの連想でもあるでしょう。
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こないだのジャンジョルジュ、さらにはじつはこの2日前の5月2日にはアップステアーズでもフレンチのほうから白アスパラガスのグリルを食べまして、アスパラ3連チャン。で、どこがいちばん美味かったかというと、写真撮ってませんが(ここにリポートもしてませんけど)アップステアーズの白アスパラが一等うまかったです。キャラメライズして、チーズがかかっていて、しかもソースが甘酸っぱくて、これはさすが素晴らしい料理でした。次がこのデギュスタシオンです。これは食感とソースのアイディアが上等です。この2つに比してジャンジョルジュはモレールマッシュルームを使っていて値段的にはいちばん高いでしょうけど、ちょっと凡庸な味だったですね。

次はコースから外れてコロッケ、クロケットですね、を食べました。中は戻した干しダラだったかなあ。下の緑はパセリのピュレーだそうです。まあまあかな、これは。
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次のこれは、思わず踊りだしてしまうほど美味かったわ。
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大中小と3種の海老のグリルですわね。どれがいちばん美味いかというと、じつはちっこいのです。もう海老の味がぎゅっと凝縮されていて、頭の部分なんか、丸ごと食したら涙が出てくるほどうまい。真ん中の大海老はモロッコ海老だったか名前を忘れましたが、肉がしっかりしていて味は穏やかで、これも違いがわかってうれしいものです。大きなのは手長海老ですね、スキャンピというやつ。これは身がほろほろです。ミソも甘い。しゃぶりつきました。ただグリルしてオイルと塩を振っただけなんですけど、参りました。料理って何なんだろうと、こういうのを食うと考え込んでしまいます。ってか、それは後の話で、食った時は昇天ですけどね。

んでもって次にでてきたのはホタテ貝。
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なんだっけ、この緑の野菜。なんかのササゲの一種みたいな食感でしたが、こんな海藻ってあったっけ? あ、思い出した、これ、samphire サンファイアというセリ科の多肉草。うーん、英語でなんとかグリーンとかいったんだけど、それを思い出せない。それにグレープトマトに火を通したのとブドウの輪切りとを加えた淡く甘いソースです。つまりトマトウォーターベースなのかな? これはちょっと甘さが一面的でまあまあだったかな。こう考えると、ホタテってかなり料理が難しいかも。東京の「カンテサンス」でもホタテは首を傾げたし。ホタテ自体が甘いから、ソースはそれと別の方角から切り込まねばならない。青みとか酸みとか。そういう意味ではこれまたブーレイのパセリのオーシャンブロスは凄いんだなあ。

そんでお肉に入ります。別注文のウズラが次に来ました。
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マリネされていてウズラの臭みが消えていて、これもなかなかよいものです。醤油とバルサミコに漬けたみたいな味です。よく見ると胡麻もくっついてるね。フェンネルのサラダも合っています。

そして料理のコースの最後4品目はロースト・リブアイの薄切りをブリオーシュのトーストの上に載せ、ホワイトチーズのソースを垂らしたもの。リブアイというのはリブロース、肩に近いロースの芯の部分。「目 eye」に似てまん丸だからこう呼びます。リブロースはいちばん肉の旨味を感じられる部位ですね。わたしはこのリブロースの芯の下の部分、ちょうどホタテの貝柱と足の関係でいうと、貝柱をアイとして、足の部分に相当する部分、なんていうんだっけ? あそこが大好き。脂が指して肉質はホロホロで。でもアイの部分もこうして食べるとじっさいジューシーで美味いっすよ、これ。うふふ。
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おまけはラム。これもうまい具合に焼けてるでしょ? キャラメリゼでっせ、この色が、はい。左のはハッシュドポテト(ジャガイモの千切りのパンケーキ焼きみたいなもん)。上にはサワークリームですね。下のソースは刷毛で塗った赤ワインのリダクションのソースです。もう腹一杯です。
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そして最後にデザート。この日はベリーのミルフィーユ仕立て。
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そんでもって、シェフがこんなにadorableなら、もう言うことはないじゃないですか。
名前はウェスリー・ジェノヴァート。じゃっかん28歳です。
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週末はいつも満杯です。平日の夜が予約を取りやすいでしょう。
さて、ウェスリー君、このカウンター席という形式がおのずから要求するであろうアドリブが可能なのかどうか、それが次の注目点ですね。

**
追記)翌週に再訪問しました。ウェスリー君、先週来たと知っているのに、シェフズ・メニューは同じ内容で出してきました。ちょっとがっかり。つまりメニュー以外にアレンジするというシステムはアメリカにはあまりないのかもしれません。これでは何度も来るわけにいきません。間口はあれど、奥がない、ということです。残念。

May 04, 2007

Jean Georges

07-05-03
フレンチ
ジャン・ジョルジュ(Jean Georges)
☆☆
1 Central Park W.
(bet. 60th & 61st Sts.)
Manhattan, NY
212-299-3900

ずいぶん久しぶりのジャン・ジョルジュです。何年ぶりかなあ。5、6年かなあ。
そんなにご無沙汰だったのにはもちろんわけがあります。
おいしいと思ったことがないから。はは。ミシュラン3つ星に向かって何というだいそれたことを!
でも、ここがニューヨークで4つある「三ツ星レストラン」の1つだと知って、ミシュランというのは、あ、そういうものなんだあ、とすこし得心したところもありました。

で、3つ星獲得後初めての再訪です。
この日は、ブーレイで働いていたタマちゃんがもう6年になるんでそろそろ他のところも知りたいと言ってブーレイを辞めて、次はマリオ・バターリのデル・ポストに移るというのが決まったので、そのお祝いも兼ねてランチに行ったわけです。ものすごく清々しい春の日で、2時の予約の30分前にコロンバスサークルで待ち合わせしてセントラルパークをちょっと散歩しました。ニューヨークはこの季節がいちばんいいね。

さて2時に入ったらまだ満席です。バーカウンターのあるカジュアルダイニングの席もいっぱい。で、キッチンを見たらジャン・ジョルジュがいたんで軽く会釈したら出てきて挨拶してくれました。こないだ、アップステアーズで彼がデイヴィッド・ブーレイといっしょにいるときに私が現れたら紹介されたんで向うもなんとなく憶えててくれたんでしょう。で、テーブルが空いたらウェイターが来て「シェフがお造りしますがお任せメニューでよろしいですか」となりました。こういうの、楽でいいわあ。日本人だなあ。


(クリックすると大きくなります)

ジャン・ジョルジュがおいしいと思ったことがない、のは、どうもそのスパイスの使い方にもあります。ここが最初にオープンしたのは10年ほど前。そのまえに彼はマンハッタンでビストロ形式とタイ風フレンチのレストランを持っていました。かなりアジアのスパイスを多用する、エキゾティックな味わいを自分のオリジナリティにするべく意識していたんですね、きっと。

でも、それが私のような日本人には付け刃というか、とがり過ぎというか、はっきりいって素材と味付けをどうしてこんな組み合わせをするのかわけわかんない状態だったわけです。味がバラバラ、あっちに飛び、こっちに外れ、そっちにズドン、ってな感じ。んー、もっとわかりやすくいうと、うどんの汁にバニラとシナモンを混ぜてブルーチーズ塗った刺身を食べさせる、みたいな(うへー、わかりやすい)。

さて、突き出しに出てきたのはこの店の有名なエッグカスタードにクレームフレーシュのホイップを載せてキャビアを食べさせるもの。
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これはまあ、そのままの味です。塩加減がちょうどよろしい。でも、カスタードがちょっと熱を通し過ぎでややダマになってます。もうすこし口溶けのよい、滑らかなものに仕上げなければいけません。

続いて出てきた前菜がこれ。
何だと思います?
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ハマチの刺身と日本のキュウリの漬け物ですわ。それで目の前でこのポン酢を注ぎ入れてくれるところがフレンチなんでしょうね。はは。で、上には七味みたいなスパイスが軽く振ってあって、ポン酢もこれ、カボスかな? これはわれわれが日本人だからという配慮かしら? ハマチもこうやってキュウリと同じく筒状に切るおフレンチな発想。面白いね。で、味は、まあ、おいしいけど、なんか、微笑ましい、という言葉が思いついてしまうという印象。お家で作れますよ。キュウリの漬け物、ほんとにキュウリの漬け物だから。浅漬けの素つかったみたいな。

次のアスパラガスはおいしかったです。アスパラがおいしい。
それにモレル(網傘茸)のシャロンソースなるものがやはりこれも目の前で載せられます。
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シャロン・ソースって何?って訊いたら、シャトー・シャロンとかいうフランスのワイナリーのことを説明してたから白ワインのブール・ブランみたいなもんでしょね。モレルもちょうどいい火の通り。白ワインと言いましたが、ソースはなぜかアルコールがまだかなり残っているふうで、ブランデーの味がしました。それが狙い目なのかどうかは訊きませんでしたが、春のアスパラはとくに茎の太い部分がやさしく甘くすべてを赦すような幸せな味がしました。

次がジャン・ジョルジュらしいエビと冬茹(どんこ)シイタケの柚子フォーム仕立て
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ドンコとはいっても、なんとなく普通のシイタケでしたが、エビと一緒にグリルしてあって、この柚子の泡のソースの下に眠っています。けっこう柚子、ぐいっと迫ってきます。逆にエビは叩いてあるのか、とてもほんのりほわほわ風味でした。で、その下にさらにマヨネーズが敷いてあって、そのマヨネーズがぴりりと辛いのは青唐辛子でしょう。ってことは柚子胡椒を混ぜ入れたのかもしれないね。ジャン・ジョルジュらしいというのは、この感じ。この組み合わせ、けっこう力技。面白かったです。

そして魚になります。
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シーバス(すずき)がきれいなプチトマトのマッシュルームブロスの上に載っています。きれいな一皿です。
で、このマッシュルームブロス、甘酸っぱくておいしい。それだけでなく焦がしバターを混ぜ込んでいます。つまりブール・ノワール(黒)、もしくはノワゼット(焦げ茶)ていどにしたバターの風味がトップノートなのね。で、酸味はトマトウォーターか、あるいはそれにもちろんレモンか。甘みは砂糖でしょうかね。そんでもってふとカレーっぽい香りがかすめるのはきっとコリアンダーシードあるいはカルダモンが入ってるんだと思う。すずきが皮目に纏っているのはおそらくマッシュルームパウダーだと思われます。
おいしかったです。
でも、これ、自分でも作れそうです。今度のパーティーで作ってみましょ。

最後のお肉は、これは自分では作れません。素晴らしいスクワブ(雛鳩)でした。
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スクワブはスモークされていました。これでスクワブのあの血臭さというかレバー風味というか、そういう野趣が野趣のままぐいっと私たちの手元に入ってきてくれます。スモークというのは偉大な調理法です。焼き加減はいうまでもなく、おそらくいままで食ったスクワブの中でトップクラスに入る料理でした。ソースはスクワブのジュにマーマレードっぽく詰めたオレンジ。そこにミントがかぶさっています。ショウガもほんの少し? 白いのはアジアン・ペアつまり丸い形をした日本の梨です。これはただ甘いだけで不要でした。シャリシャリ感はいいのですが、甘くてスクワブの味をぼやけさせるだけです。レモンかオレンジのジュースに漬けてから添えるとかしたらワザありだったと思います。スクワブの上には細かく3切れほどキャンディー(砂糖漬けコート)したドライフルーツが載ってました。梨だったのかなあ?

そこでデザートとプチフールになりました。
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ランチというせいか、あるいは三ツ星を取ったせいか、あるいは春のせいか、今回のジャン・ジョルジュは味の整え方がすこし落ち着いた感じがしました。で、おいしくなったか、というと、うーん、スクワブは見事だったけど、ほかのは私の中ではやはり☆☆かなあ。なんでだろう? 何が違うんだろう? いや、けっしてまずくはないんですよ。

同じ☆2つでも、ここのレヴューに書いてあるレストランで、書き方が違って絶賛しているところもありますが、それは期待値に対してのその期待のプラス方向での裏切られ方、あるいは頑張り方、が私を感動させるのです。ただ、こうやって振り返って見ると、☆の付け方はけっこう絶対値です。☆☆のレストランはいまいくつあるんだろう、でも、振り返って思い出してみても、この☆☆のレストランたちは私にとってはジャンルは違えど、みな同じレヴェルの味がするのです。それは「とてもおいしい」ということなんだけどね。でも、じゃあどうしてジャン・ジョルジュには「とてもおいしい」と、そういうふうな書き方にならないのか?

わっかりませ〜ん。

つまり、☆の数はかなり客観的な満足度の評価、書き方は、ずいぶんと主観的なあれやこれやの思い、ということですわ、いずれにしても。
だもんでそのつもりで読んで下されまし。わたしも自分が主役な人間なのですわ。はは。

ちなみに、この日のランチは、予約時間どおりにテーブルが空かなかったせいか、バーカウンターで頼んだカクテル計2杯(計30ドル相当)とかデザートに付けた紅茶とか、ぜんぜんビルに付いてませんでした。ジャン・ジョルジュお知り合い値段ってことか。したがってお値段は2人で料理各55ドル、白ワイン(nigl=ニーグルと読むオーストリアのワイン。安くてうまいの)55ドル、それに発泡水代と税金とチップ合わせて213ドル払いました。ランチはお得っていうけど、料理の55ドルだってキャビア出してこれはないわね。ぜったい1皿分くらいおまけしてくれてるね。

というわけで、かなり満腹・満足で出てきてもまだ空は4時45分の春の明るさでした。

March 02, 2007

カンテサンス

07-02-26
フレンチ(キュイジーヌ・コンテンポレーヌというらしい)
Quintessence

東京都港区白金台5-4-7
03-5791-3715

Danchu の小山薫堂さんというひとや日本のいあゆるグルメライターたちが絶賛しているので、そういうひとたちの「!」という表