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日本が大変だ

こちらの大統領選挙のことばかり考えていたら、日本では台風に続いて新潟が大変なことになっています。ニューヨークにいると限られた情報しか入りませんが、知り合いの新聞記者たちの携帯にかけてもきっと新潟に行っているんでしょう、なかなかつながりません。

そんな中で、こちらの日本語放送で西武の優勝騒ぎが週明けの昨夜、スポーツニュースで流れていました。十数年ぶりの優勝はそれは“お祭り”騒ぎでしょうが、でも、どうして所沢から200キロ、祝賀会の名古屋からだって400キロしか離れていない土地で寒さと疲労に震えている10万人という人がいるのに、ああいうふうになんの思いも持たずにビールを掛け合えるのか、いや、せめて、せめてです、今夜は乾杯で静かに勝利を噛みしめよう、という人がいなかったのか。ま、いたのかもしれませんね。しかしそれもスポーツ乗りとでもいうのでしょうか、そういう勢いになきに等しかったのかもしれない。

でも、敢えていわせてもらうなら、あれは「西武」です。いま、世間で反社会的な株式売買で非難を受けている会社です。そりゃ、選手は“関係ない”というのかもしれませんが、彼らは組合も持っている(個人契約主ながら)西武の“従業員”でもあるのです。

せめて、乾杯だけにしようと言っていたら、この野球人たちは昔と違って、ロールモデルになり得ただろうになあ、と思います。まあ、そういうものをそもそもスポーツ選手に期待していないのかもしれませんが、なんとなく、なさけない、というか、かなしいというか。ぼくらはテレパシストじゃないのだから、いろんな思いは、言葉や態度や行動に表さないと、何の意味も持たないのです。いい人は、ただいい人だからいい人なのではなくて、いいことをするからいい人なんです。ビール掛けしかやらないやつは、ビール掛けしかやらないやつなのです。

そうこうするうちに今夜は日本人がイラクでザルカウィ一派に拉致されたというニュースが入ってきました。思わず知り合いのジャーナリストじゃないかと心配してしまうのはあまりにも心が小さいとは思いますが、そういうのはどうしようもありません。いったい、この時期、だれが入っているのでしょうか。男性のようですが、「長髪」という報道で、なんでイラクに長髪で入るかなとも思ってしまいます。

いまのところ、だれなのか私にはわかりませんが、この男性がだれであれ、日本政府というのは日本人の総意として形成されている組織なのですから、邦人の安全のためにあらゆる手段を講じなければなりません。これは前回の女性を含む三人、またほかの二人のジャーナリストの拉致の際でも同じことです。危険を承知の自己責任ではあるが、一旦危険な目にあったならば絶対にそれを救わねば、それこそ政府としての責任を果たしていないことになります。それをいちはやく「自衛隊の撤退はない」と手の内を明かしてしまって、いったいこの政府は外交もしくは交渉というのを何だと考えているのでしょう。

もっとも、ザルカウィの一派は前回の日本人拉致事件のイラク人たちとは違いますから(イラク人ですらないのです)、交渉など無理でしょうが。これは12月の自衛隊派遣期限を睨んでの計画的な揺さぶり行為です。そう、もちろん、アメリカの大統領選挙への挑発でもあります。

かわいそうに、としかいえません。

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